3. 【解説】シニア層に大学をおすすめできる理由とは?
シニア層の中には定年退職後にやることがなく、自宅にひきこもってしまう方もチラホラ。そこで大学に在籍していれば外出するきっかけになりますし、人とのつながりもできます。
また、大学は高校よりも体力的負担がありません。1年次と2年次は必修科目数が多いため通学頻度も高いですが、それでも文系であれば週5で朝から夕方まで大学にいなければならないというスケジュールにはならないはずです。
また、卒業を急がないのであれば、在籍できる上限年数を考慮しつつも、余裕のある履修プランを立てられます。
大学の講義には教員の話を一方通行で聞くものだけでなく、在籍していなければ経験できないアクティビティも豊富。
大学では学食や軽食も充実しており、おいしい食事をプチプライスで楽しめます。栄養のある食事を手間なく食べられるのもうれしいポイントですよね。
通学やキャンパス内の移動は軽い運動になりますし、講義や課題で頭をフル回転させれば脳を活性化できるでしょう。
学生であれば図書館やコンピュータールームなども利用できるため、スキマ時間や講義がない日も大学で過ごせます。
キャンパスが美しく整備された大学も多く、季節の草木や花を楽しめます。キャンパスをゆったりと散策し、季節を感じるのも1つの楽しみになるはずです。
4. 【実録】10~20歳代に負けず劣らずキャンパスライフを充実させるシニア層も
筆者は学部と大学院に通いましたが、いずれにおいても社会人学生が在籍していました。
彼らは10歳代や20歳代の学生ともうちとけ、体育やゼミのイベントも楽しんでいるように見えました。
筆者自身も社会人学生に鼓舞されることが多く、プライベート含めて親しくしていました。
彼らの学びの意欲は高く、刺激的でした。講義のあとに図書館で調べものをする姿や、講義で分からなかった部分を長時間ひきずる姿は、10歳代や20歳代の学生にはあまり見られないものです。
また、自分よりも50歳くらい年齢差がある人とも話題は尽きませんでした。講義の話だけでなくお互いのバックボーンや教授の研究についてなど、共通のネタが豊富にあります。
人生相談にのってもらったことや、雑談で世代間の差を楽しんだこともありました。
シニア層や社会人学生が自身の経験を生かしながら大学をうまく使えている、大学を有効活用している、大学をフルで使っているなどと思うこともありました。
5. 大学存続にはシニア層のニーズを満たすことが鍵になる?
そもそも、大学とは10歳代や20歳代の若者だけの機関ではありません。現役世代にもシニア層にも開かれています。
大学は生涯学習センターを運営するなど、社会人にも門戸をこれまでも開いてきました。また、社会人の受け入れも積極的に行い、10歳代・20歳代とシニア層がひとつの空間で学べる環境にもあります。
これからの時代、大学が存続するためには社会人に魅力的なカリキュラムや学習内容、プログラムをさらに増やしていくことが求められます。
シニア層の中には大学付属の生涯学習センターやカルチャースクールなどで学ばれている方もいます。
筆者は学びに意欲的なシニア層であれば、大学はむしろ「お得」なのではないかとさえ思います。
私立大学の学費は年間100万円以上かかりますが、大学に在籍していれば講義は受け放題。生涯学習センターの講座も1つ5000円前後しますから、いくつも受講していればそれなりの価格になります。
さらに、学生であれば図書館や学食、コンピュータールームなどを利用できますし、美術館や博物館、交通機関などは「学割」の対象です。
学生特権を利用すれば学費分のもとを取れるかどうかは別の話ですが、アカデミアや芸術、本がお好きな方であれば、満足度の高い生活を営めるのではないでしょうか。
参考資料
文部科学省「参考資料集 令和5年9月25日」
文部科学省「大学入学者数等の推移」
パーソル研究所「ミドル・シニアの学びと職業生活に関する定量調査」
西田 梨紗