2. 墓じまいが増えるいま。そもそも、お墓は必要なのか?
夫婦ともにきょうだいがいない場合など、お互いの実家の墓を引き継ぐことになるケースも増えていくでしょう。
その子どもがまた一人っ子となり、仮にその結婚相手がこれまた一人っ子だった場合……。そう考えると、そもそもお墓を残すことそのものが大きな負担となる可能性も。
お墓の維持管理費用を滞納した場合、一定期間の通知が行われたあと無縁墓として撤去されてしまう可能性もあります。家族のお墓が知らない誰かに処分されるというのは、正直快い話ではありませんよね。
3. お墓購入予定者の約半数が「墓じまいを想定」
ちなみに、全国石製品協同組合(全石協)が2022年9月19日に公表した調査結果では、お墓の購入を予定している人の約半数(48.9%)が「七回忌まで」「三十三回忌まで」などと、お墓の使用期限を想定しているという結果に。
お墓を建てるときから、その先の墓じまいまでを想定しているというわけですね。中には「墓じまいセット付き」の一般墓を選んだという声も。
3.1 改葬件数は増えている
- 1998(平成10)年 7万263件
- 2003(平成15)年 6万8579件
- 2008(平成20)年7万2483件
- 2013(平成25)年 8万8397件
- 2018(平成30)年 11万5384件
- 2019(令和元) 年12万4346件
- 2020(令和2)年 11万7772件
- 2021(令和3)年 11万8975件
- 2022(令和4)年 15万1076件
ちなみに「墓じまい」とは、それに伴うお墓の引っ越し(改葬)までを含めた一連の手続きや作業を指すことが多いですね。
厚生労働省が2023年10月に公表した「令和4年度衛生行政報告例」を見ると、2022年度の全国の改葬件数15万1076件と過去最高に。1998(平成10年)年からの四半世紀で倍増。墓じまいをする人が増えていることは確かと言えるでしょう。
4. 墓じまい&新しい供養のカタチを考える
今回は「墓じまい」について考えていきました。
生き方の多様性が進むいま、誰もがいつかはたどり着く「終の棲家」の選択肢も広がっています。
とはいえ、家族の絆を大切にする年長者の気持ちや、伝統を重んじる地域の風習もないがしろにしてはいけません。
今回ご紹介した自由で新しい供養のスタイルや、墓じまいを行うことが、必ずしも歓迎されるとは限らないでしょう。
とりわけ、古くから大切にしてきた先祖代々のお墓をたたむことを考えたときは、家族・親族の合意を得てからことを進める必要がありますね。
参考資料
- 株式会社アンカレッジ「家族で迎える新年の決断!2023年お墓選び完全ガイド」
- 株式会社鎌倉新書 第13回 お墓の消費者全国実態調査(2022年)購入したお墓の種類は「樹木葬」が41.5%で3年連続シェア1位(PR TIMES)2022年3月15日
- 全国石製品協同組合(全石協)「これからお墓を購入しようと考えている方の‟お墓の形態”と”お墓の使用期限”についてのアンケート調査」(PR TIMES)2022年9月19日
- 衛生行政報告例/平成10年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
- 衛生行政報告例/平成15年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
- 衛生行政報告例/平成20年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
- 衛生行政報告例/平成25年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
- 衛生行政報告例/平成30年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
- 衛生行政報告例/令和元年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
- 衛生行政報告例/令和2年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
- 衛生行政報告例/令和3年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
- 衛生行政報告例/令和4年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
吉沢 良子