子どもを育てている方は、子どものちょっとした体調の変化で病院を受診する機会も多いと思います。

そんなときに頼りになるのが、自治体の助成制度。

「こどもに係る医療費の援助」「子ども医療費助成制度」「乳幼児医療費助成制度」など、自治体によって名称が異なるものの、子どもの医療費を助成する制度が充実しています。

中には「医療費が無料」というところもあるのですが、無料のつもりで受診したところ「請求された」というケースもあります。

今回は、考えられるケースとして2つを解説。

記事の後半では、こども家庭庁が公表した令和4年度・5年度「こどもに係る医療費の援助についての調査」をもとに、全国の助成内容について都道府県・市町村別に確認していきます。

1. 子ども医療費の助成制度とは

各都道府県が要綱等に基づき補助している、自治体ごとの子ども医療費助成制度。

実施内容は各地によって異なりますが、概要としては「ある一定年齢までのこどもにかかる医療費を」「入院費・通院費それぞれ」「上限◯◯円までの自己負担で済むように助成する・あるいは無料とする」

というものです。例えば次のようなケースがあります。

  • 15歳年度末まで(中学生まで)の入院費の上限を定める
  • 18歳年度末(高校生まで)の通院費を無料とする

なお、一部で所得制限を設けている自治体もあります。

出産や転入などでは手続きが必要なので、受給者証の交付手続きが漏れないように注意しましょう。

なお、使用期限も決まっているため、古い受給者証が紛れていないかの点検も必須です。

中には18歳年度末まで通院費も入院費も無料とする自治体もあるのですが、病院で請求されてしまうこともあります。

次章では、考えられるケースとして主な2つの例を見ていきましょう。

2. 無料のはずが「子どもが受診して費用を請求される」可能性

子どもの医療費が無料となっているにも関わらず、医療機関を受診すると費用が請求されるケースもあります。

2.1 ケース1. お住まいの都道府県外の医療機関を受診した

お住まいの都道府県外の医療機関を受診した場合は、原則として受給者証が使えません。

この場合、保険証は使用できるので2~3割負担(年齢により異なる)となり、自己負担が発生してしまうでしょう。

もし費用負担をした場合でも、後日お住まいの自治体窓口に申請することで、払い戻しが受けられます。

これを償還払いといいますが、時効もあるためできるだけ早く手続きを行いましょう。

2.2 ケース2. 保険診療対象外の費用が発生した

子ども医療費助成に限らず、保険診療対象外の費用が発生したケースでは自己負担が必要になります。

健康診断や予防接種、歯科では矯正などでも自己負担が発生します。

なお、保育園や学校などで怪我をした場合には、加入する保険にて給付が受けられる可能性があるため、受給者証が使えず一旦自己負担します。

交通事故などでも同様です。

ここまで主なケースを2例紹介しましたが、他にも請求されるケースはあります。

  • 受給者証の期限が切れていた
  • 受給者証を忘れた  など

受給者証の期限が切れているケースは意外に多くあります。

筆者も自治体の窓口で担当していましたが、有効期間を延ばした新しい受給者証を送付するとき、古いものは破棄するようお願いしていてもやはり混ざってしまうことが多いのです。

年の切替で所得制限に該当したものの、気づかずに古い受給者証を提示してしまうことも。

もし請求されて不明点があれば、医療機関や自治体窓口で確認するようにしましょう。特に償還払いが受けられる期間には時効があるため、注意が必要です。