3. 全国の「子ども医療費助成制度」はここまで違う!所得制限ありの自治体も
子ども医療費助成制度(自治体により名称は異なる)は、自治体によってその内容が異なります。
こども家庭庁が公表した令和4年度・5年度「こどもに係る医療費の援助についての調査」をもとに、全国の助成内容について確認していきます。
3.1 こども医療費に対する援助の実施状況(都道府県)
まず制度の実施状況では、47都道府県すべてにおいて実施されていることがわかります。
このうち対象年齢を整理すると、下記のとおりです(その他を除く)。
- 5歳未満:通院1・入院0
- 就学前:通院21・入院16
- 9歳年度末:通院4・入院1
- 12歳年度末:通院4・入院5
- 15歳年度末:通院10:入院17
- 18歳年度末:通院6・入院7
なお、所得制限や一部負担の有無は以下のとおりです。
- 所得制限なし:通院21・入院22
- 所得制限あり:通院25・入院24
- 一部自己負担なし:通院10・入院12
- 一部自己負担あり:通院36・入院34
都道府県での実施状況は以上のとおりですが、実際は自治体(市区町村)が補助金を受けて独自の助成を行なうことがほとんどです。
最後に市区町村における実施状況も確認しましょう。
3.2 こども医療費に対する援助の実施状況(市区町村)
さきほどと同様に、まずは年齢ごとの実施状況を見ます。
- 就学前:通院17・入院2
- 9歳年度末:通院2・入院0
- 12歳年度末:通院31・入院16
- 15歳年度末:通院482:入院446
- 18歳年度末:通院1202・入院1266
- 20歳年度末:通院4・入院4
- 22歳年度末:通院3・入院3
- 24歳年度末:通院0・入院4
- 所得制限なし:通院1589・入院1586
- 所得制限あり:通院152・入院155
- 一部自己負担なし:通院1198・入院1285
- 一部自己負担あり:通院543・入院456
所得制限がないところが多数ですが、一部で所得制限のある地域も目立ちます。
ただし、大阪市では2024年度から所得制限の撤廃が行われるなど、廃止する自治体も増えています。今後は拡充の動きが広がるのかもしれません。
4. まとめにかえて
子どもの医療費が無料のつもりでも、費用が請求されるケースについて見ていきました。
もし申請して戻って来るケースに該当するのであれば、早急に手続きを行いましょう。
助成制度は拡大される動きがある一方、今後は縮小される可能性もゼロではありません。制度の改正には注目しておきたいですね。
比較的新しい制度で、さらに地域差があるため「当たり前」と思っていることが人と異なることもあります。
ありがたい助成であることを意識し、子どもの健康を守っていきたいですね。
参考資料
太田 彩子