「マンションを売りに出してみたものの、中々売れない・・・」と思っている方は少なくありません。売れない期間は、なかなか不安に感じる方も多いかと思われます。

そこで今回は、マンションが売れないと悩んでいる方に向けて、よくある原因とその対策を具体的に解説していきます。

売れない原因を把握し、しっかりと対策すればマンション売却に成功する確率は高まります。

「マンションが売れない」原因と対策

マンションが売れないときは、以下2つのケース別で理由を考えましょう。

  • 内覧が少ない
  • 内覧はあるが申し込みがない

やみくもに売れない理由を考えるのではなく、上記2つのどちらのケースに該当するのかを考えなくてはいけません。そちらの方が理由を見つけるのが早いですし、より具体的な対策を行うことができるからです。

マンションが売れないケース:①内覧が少ない

まずは内覧が少ないときには、以下の5つの理由が考えられます。

  1. 価格設定を間違えている
  2. ポータルサイトなどに広告を出稿していない
  3. 掲載している写真の質・量に問題がある
  4. 担当者との連絡に問題がある
  5. 依頼先の仲介会社に囲い込みされている

1-1.価格設定を間違えている

内覧が来ないということは、購入検討者がマンションが売却していることを告知するためのチラシやネット情報などを見ても、「興味がある」という状態にならないということです。その最も大きな理由として考えられるのが「価格が高すぎる」という点です。

仮に、マンションの検討者が広告を見て価格が高いと思えば、内覧を検討しないでしょう。内覧が来ない状況が続いた場合は、同じマンション内や周辺の似ているマンションの成約価格を改めて確認することが重要になります。

そのような過去の成約価格よりも、自分のマンションの売り出し価格が明らかに高いのであれば、マンション内や周辺の成約価格を参考に価格改定を検討しましょう。また、マンション購入検討者が多い2,3月は競合物件が多くなるため、より価格改定の必要性が増してきます。

1-2.ポータルサイトなどに広告を出稿していない

次に、マンション広告でポータルサイトなどに出稿していないかを確認しましょう。ポータルサイトとは、SUUMOやHOME’Sなどのような、不動産情報がたくさん掲載されているサイトのことです。前項では、「広告を見ている」前提の話でしたが、広告がないまたは広告が少ないために購入希望者の目に触れていないケースも多いです。

そもそも、マンションを売却するときの広告展開は、基本的には仲介会社が決めます。一般的には、売却価格が高くなるマンションの方が仲介手数料も高くなるので、広告量も多くなります。ただ、ポータルサイトは広告全般の中でも掲載料金が高いので、マンションによっては掲載されません。

しかし、前項のように売り出し価格を検証した結果価格が適正でなのであれば、広告量が少ない点が内覧に来ない原因と考えられます。そのため、仲介会社に交渉をして、集客力のあるポータルサイトへの掲載を頼んでみると良いでしょう。

1-3.掲載している写真の質・量に問題がある

前項までの検証で、価格も適正で広告量も適正であれば、次は広告の「質」が売れない原因かもしれません。たとえば、広告に掲載している図面や写真の質、または情報量が足りない可能性があります。

広告には、マンションの外観写真や室内写真などを掲載し、その「写真」は購入検討者が唯一マンションをイメージできる大切な要素です。そのため、その写真の質が悪かったらもう一度撮りなおしてもらったり、プロのカメラマンに撮ってもらったりするように依頼しましょう。

また、特にネット広告はたくさんの写真を掲載できるので、できるだけマンションのイメージが沸くような写真をたくさん掲載することも重要です。

1-4.担当者との連絡に問題がある

上述した点に問題がなければ、次は担当者との連絡が上手くいっていないケースが考えられます。内覧の予約受付は、営業担当者が購入検討者と売主の予定を調整します。しかし、営業担当者と中々連絡がとりにくい状況だと、連絡がすれ違ってしまい、結局内覧日程の調整ができないことも考えられます。

そのようなことを防ぐために、以下の対策をしましょう。

  • メールやラインなどを中心に連絡する
  • 内覧OKな日程を事前に伝える

電話だとすれ違いが生じやすくなるため、できるだけメールやラインでやりとりしましょう。また、事前に内覧して良い日程を伝えておくのも効果的です。

1-5.依頼先の仲介会社に囲い込みされている

囲い込みとは、仲介会社が他社からの紹介をシャットダウンする行為です。仲介会社が囲い込みをする理由は、仲介を依頼されている仲介会社自身が買主を見つけてくることで、売主・買主の両方から仲介手数料をもらいたい(両手取引)からです。

他社から紹介されて成約すると、買主から仲介手数料をもらえないので紹介を断るというわけです。しかし、売主にとって囲い込みはデメリットしかないので、以下の対策を取りましょう。

  • 囲い込みの存在を知っていることを伝える
  • 友人がほかの会社経由で検討していることを伝える

上記でも完全に囲い込みを防ぐことはできませんが、一定の抑止力にはなるでしょう。

マンションが売れないケース:②内覧はあるが、申し込みがない

つづいて、内覧は一定数あるものの申し込みに至らないケースです。その売却は以下の理由が考えられます。

  • 掃除やハウスクリーニングをしていない
  • 物件の良さを内覧時にうまく伝えていない

つまり、住んでみてわかるお部屋の魅力を購入検討者に伝え切れてないということです。

2-1.掃除やハウスクリーニングをしていない

内覧があるものの申し込みに至らないということは、「広告効果はあるけど実際に見学したら評価が下がった」ということです。その理由として考えられるのは、購入検討者が見学をした後に「部屋の印象が悪い」という状況です。

そのため、部屋の掃除やハウスクリーニングを検討しましょう。フローリングやクロスはもちろん、水まわりの汚れは目立ちます。一度自分で大掃除をしてみて、それでも落ちない汚れはハウスクリーニング業者への依頼も検討してみると良いです。

ハウスクリーニング業者に依頼するかどうかは、仲介会社と相談しながら決めることをおすすめします。仲介会社の経験上、部屋の印象が悪くなるほど汚れているときは、クリーニング依頼する方が無難です。

2-2.物件の良さを内覧時にうまく伝えていない

次に考えられる理由は、仲介会社が上手く物件のアピールができていないという点です。対策としては以下の点になります。

  • 居住者として感じる魅力を伝える
  • 両手取引かどうかの確認
  • レインズで登録状況を確認

まずは、実際に住んでいる居住者としての立場で、「実際に住んでみて良かった点」を伝えましょう。この点は、営業トークのプラス材料になるかもしれません。また、仲介会社の中には、取引ごとに「片手取引(買主からは手数料をもらわない)というスタイルの場合もあります。

しかし、片手取引だと営業マンは両手取引になる物件を優先させるので、営業マンのモチベーションが低いことが考えられます。この点は営業マンに直接聞き、もし自分の物件だけ片手取引できれば仲介会社の変更を検討すべきでしょう。

さらに、売主もレインズ(物件が登録されているサイト)を確認できるので、サイトにて物件の登録状況を確認※しましょう。仮に、物件のステータスが「公開中」になっていない場合は、仲介会社の怠慢か、囲い込みの危険性があるので指摘しましょう。

売却を依頼する仲介会社を変更するのも1つの選択肢

前項までで、マンションの売却が上手くいかない理由と、それぞれの対策を解説しました。しかし、理由が分かったとしても、誠実に対応してもらえない場合があるかもしれません。また、どうしても担当者と反りが合わない場合もあるでしょう。

そのときは、媒介契約が切れた時点で、思い切って仲介会社を変更してみるのも選択肢の1つです。

もし仲介会社を変更するのであれば、次に売却を依頼する仲介会社は慎重に選ぶ必要があります。選ぶ際、仲介会社には以下の3種類があり、それぞれに特徴があることを認識しておきましょう。

  1. 地場の仲介会社
  2. 大手不動産仲介会社
  3. 無店舗型の仲介会社

地場の仲介会社

地場の仲介会社とは、地元に根付いた仲介会社で、いわゆる「街の不動産屋さん」です。そんな地場の仲介会社の強みは、なんと言っても街に精通しているという点でしょう。そのため、以下のような状況のときには地場の仲介会社は有利といえます。

  • 今までの担当者が街のアピールができていなかった
  • 周辺環境など立地的な魅力が少ない

まずは、担当者の営業スキルが低い場合には、地場の仲介会社は有効です。たとえば、「朝の○時は電車が混まない」や「あまり知られていないが便利な商店街がある」などの情報は、長い間住んでいないと分からない情報です。

そのような情報を地場の仲介会社は持っているので、営業トークに活かすことができます。また、周辺環境などのエリア的な魅力が小さいマンションも、地場の仲介会社が持っている情報は大切になってくるのです。

大手不動産仲介会社

次に、大手不動産仲介会社です。大手不動産仲介会社とは、複数の店舗を持っており、広範囲にわたって営業している仲介会社のことになります。そんな大手仲介会社の強みは「店舗間のネットワークが利用できる」という点です。

マンションをはじめとした不動産の購入者は、「○駅~△駅の間」や「○市内」など、ある程度広い範囲でマンションを探していることが多いです。仮に、購入検討者がA,B,Cの3駅が最寄りのマンションを探していて、大手仲介会社であるZ社がその3駅全てに店舗があるとします。

そうなると、A駅最寄りの店舗に来訪した人も検討者として紹介できますし、B,C最寄りの店舗に来訪した人も紹介できます。つまり、店舗数が多いことで検討者の裾野が広がるので、集客力が高くなるということです。そのため、集客に課題があるマンションなどは、大手仲介会社に売却の依頼をすると良いでしょう。

無店舗型の仲介会社

「無店舗型の仲介会社」とは、実店舗を持たずに主にWebやアプリを駆使して集客を行なっている不動産会社です。

こういった仲介会社は、集客コスト、店舗コスト、人件費などの営業に関わる様々なコストを削減し、お客様に仲介手数料を安く還元する仲介サービスを提供しています。

地場の不動産会社の情報ネットワークや、大手並みの流通実績があるわけではないですが、不動産のプロが在籍していないわけではないですし、一度ご検討される価値は十二分にあると言えます。

買取は最後の選択肢

最後に不動産業者による「買取(かいとり)」についても少し触れておきます。買取とは、不動産業者に買主を見つけてきてもらう「仲介」ではなく、不動産業者自身にマンションを買ってもらうことです。買取を行う業者は、その物件をリノベーションして利益を載せて販売することが目的なので、買取価格は相場価格を下回ります。そのため、買取はマンション売却の「最後の手段」として認識しておきましょう。

買取のメリット

最後の選択肢とはいえ、買取には以下のメリットがあります。

  • 確実に売却できる
  • スピーディに売却できる
  • 決済が早い

買取の場合、劣化が激しいマンションで資産価値がゼロではない限り、買取なら確実に売却することができます。また、買主が不動産業者なので、買うか買わないかの決断が早いです。そのため、内覧のための準備や日程調整の機会が少なく、売主としては楽な売却活動になります。

さらに、不動産業者は現金で購入することも多いですし、融資で購入するにしても一般個人よりもスピードが早いです。通常のマンション売却(仲介)なら、売却活動から決済まで4ヶ月~半年ほどかかりますが、買取なら1週間ほどで決済できることもあります。そのため、現金化を急ぐ方などにはメリットが大きいと言えるでしょう。

買取価格が下がる

一方で、上述したように買取の場合、売却価格が下がります。買取の価格は物件によりますが、一般的には相場の7割~9割ほどまで下がるので、相場価格が4,000万円であれば2,800万円~3,600万円程度まで下がるということです。

まとめ

マンションが売れないとき、その原因が

  • 内覧が少ない
  • 内覧はあるが、申し込みがない

のどちらかのケースに該当するかで取るべき対策が変わります。

内覧が少ないケースでは、

  • 価格設定を間違えている
  • ポータルサイトなどに広告を出稿していない
  • 掲載している写真の質・量に問題がある
  • 担当者との連絡に問題がある
  • 依頼先の仲介会社に囲い込みされている

などの原因が考えられます。

また、内覧があるが、申し込みがないケースでは、

  • 掃除やハウスクリーニングをしていない
  • 物件の良さを内覧時にうまく伝えていない

のどちらかに原因があることを考えましょう。

これらの改善によってマンションが売れるのであればいいのですが、媒介契約を結んでいる仲介会社に問題があるケースもあるかもしれません。その場合は、売却を依頼する仲介会社を変更するのも1つの選択肢です。

また、業者による買取は早期に売却できるというメリットがあるとはいえ、買取価格が通常の売却相場を下回ってしまうので最後の選択肢として認識しておきましょう。

マンションジャーナル