LIMOが2023年5月にお届けした記事から、人気の記事をピックアップして再掲載します。

(初掲載*2023年5月22日)

2023年度の年金額は、67歳以下の国民年金(老齢基礎年金)満額で6万6250円、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金が22万4482円と決定されました。

これを受け「年金生活者支援給付金」についても、2023年度は原則として2.5%増額されることになりました。

初回の支給日は2023年6月15日となります。

「年金生活者支援給付金」とは、年金額や収入額が一定以下の方を対象として支給されるものですが、その対象者を知らないという方も多いでしょう。

今回は「年金生活者支援給付金」の対象者や、2023年度の受給額について見ていきましょう

【注目記事】「住民税非課税世帯」年収の目安はいくら?給付金や助成3つを確認

1. 【2023年度】年金生活者支援給付金の基準額は2.5%増額へ

年金生活者支援給付金とは、公的年金等の所得が低く、経済的な支援を必要としている人に対して支給されるお金で、社会保障と税の一体改革に伴い2019年10月に導入されました。

2023年度には基準額が2.5%増額されると決まっています。

老齢年金生活者支援給付金には、老齢年金生活者支援給付金・障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金があり、2023年度の基準額は次のとおり決定されています。

支援給付金の給付基準額

支援給付金の給付基準額

出所:日本年金機構「令和5年4月分からの年金額等について」

  • 老齢年金生活者支援給付金:5140円
  • 障害年金生活者支援給付金:1級 6425円、2級 5140円
  • 遺族年金生活者支援給付金:5140円

それぞれ前年度より2.5%の増額です。

後述しますが、老齢年金生活者支援給付金の実際の金額は、保険料納付済期間や保険料免除期間等に応じて算出されるため、必ず2.5%の増額になるとは限りません。

2. 年金生活者支援給付金の実際の金額

老齢年金生活者支援給付金の実際の金額は、次のように決定されます。

【月額5140円を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出され、次の(1)と(2)の合計】※1

(1)保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5140円 × 保険料納付済期間※2 / 被保険者月数480月※3
(2)保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1041円※4 × 保険料免除期間※2/ 被保険者月数480月※3

※1 前年の年金収入額とその他の所得額の合計が78万1200円を超えて88万1200円以下の方には、「保険料納付済期間に基づく額(月額)」に一定割合を乗じた補足的老齢年金生活者支援給付金が支給されます。

※2 給付額の算出のもととなった保険料納付済期間や保険料免除期間は、年金証書や支給額変更通知書等で確認できます。

※3 昭和16年4月1日以前に生まれた方は、生年月日に応じて480月を短縮します。

※4 保険料免除期間に乗じる金額は、毎年度の老齢基礎年金の改定に応じて変動します。

なお、昭和31年4月2日以後生まれの方は、保険料全額免除、4分の3免除、半額免除期間は1万041円(老齢基礎年金満額(月額)の6分の1)、保険料4分の1免除期間は5520円(老齢基礎年金満額(月額)の12分の1)となります。

昭和31年4月1日以前生まれの方は、保険料全額免除、4分の3免除、半額免除期間は1万1008円、保険料4分の1免除期間は5504円です。

3. 年金生活者支援給付金の対象者

各年金生活者支援給付金の対象者

各年金生活者支援給付金の対象者

出所:厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」

年金生活者支援給付金の対象者(支給要件)を詳しく確認しましょう。

3.1 老齢年金生活者支援給付金

老齢年金生活者支援給付金は、以下の支給要件をすべて満たしている人が対象となります。

  1. 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
  2. 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
  3. 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が78万1200円以下である

ただし、障害年金や遺族年金等の非課税収入は計算に含みません。

3.2 障害年金生活者支援給付金

障害年金生活者支援給付金は、以下の支給要件をすべて満たしている人が対象となります。

  1. 障害基礎年金の受給者である
  2. 前年の所得が472万1000円以下である

ただし、所得の計算には障害年金等の非課税収入を含みません。また、基準となる所得は扶養親族等の人数によって異なります。

3.3 遺族年金生活者支援給付金

遺族年金生活者支援給付金は、以下の支給要件をすべて満たしている人が対象となります。

  1. 遺族基礎年金の受給者である
  2. 前年の所得が472万1000円以下である

ただし、所得の計算には遺族年金等の非課税収入を含みません。また、基準となる所得は扶養親族等の人数によって異なります。

対象外となる事由等もあるため、詳細はお近くの年金事務所や市町村窓口でご確認ください。

4. 年金生活者支援給付金の支給日はいつか

年金生活者支援給付金は、年金と同様に原則年6回に分けて支払われ、偶数月の15日に年金と同じ受取口座に振り込まれます(通帳には2つの振込が記載されます)。

前月までの2カ月分の年金生活者支援給付金が支払われるという仕組み上、2023年度の初回の支給日は6月15日です。

なお、通常の年金についても2023年度の初回の支給日は6月15日です。

5. 老後に向けて年金以外の対策を

老後に向けて年金以外の対策を

老後に向けて年金以外の対策を

BlurryMe/shutterstock.com

年金やその他の所得が一定以下の場合、要件を満たせば年金生活者支援給付金が受けられます。

他にも生活保護や自治体独自の支援制度など、支えてくれる制度や給付金については知っておくと心強いでしょう。

ただし、老後を楽観視して老後資金を貯める努力を怠ってしまうと、後悔してしまう原因となりかねません。

公的制度はあくまでも最低限かつ最後の砦とし、自助努力が求められるでしょう。

自分の老後生活を豊かにするためには、私的年金や収入源、貯蓄の多さがカギとなるものです。

年金額が少ないという方は、iDeCoや個人年金保険などで独自の年金を作ることも検討してみましょう。

所得控除の対象となるため、現在の税負担も軽減できます。

また、資産運用で資産を守りつつ増やす方もいます。2024年には新NISAがスタートするため、一度調べてみてはいかがでしょうか。

綿密な情報収集により自分自身に合う方法を見つけて、着実に資産形成をしていきましょう。

参考資料

太田 彩子