2. 【墓じまい】実施費用は「31万円~70万円」が最多でしたが…。

2.1 改葬・墓じまいの実施費用

改葬・墓じまいの実施費用

改葬・墓じまいの実施費用の内訳を書いた円グラフ。色は緑。

出所:株式会社鎌倉新書「【第3回】改葬・墓じまいに関する実態調査(2024年)」(PR TIMES)2024年3月12日

  • 30万円以下:16.0%
  • 31万円~70万円:24.2%
  • 71万円~110万円:19.5%
  • 111万円~150 万円:15.6%
  • 151万円以上:15.2%
  • わからない:9.4%

墓じまいにかかる費用総額は、移転元や移転先の種類、お墓の引っ越し方法などにより変わります。

ちなみに鎌倉新書の調査で、改葬・墓じまい費用の回答として最も多かったのは「31万円~70万円」の24.2%。しかし、その他の費用帯にも幅広く分布しています。墓地の広さに応じた費用となっていることが推測され、墓石の撤去費用は1平方メートル当たり10万円~15万円前後です。

同調査では墓じまいを検討したけれどもやめた人に対してその理由をたずねていますが、そのトップは「解体費用が高すぎた(26.3%)」でした。

他には「離壇料が高すぎた」という回答も。お墓の移転を寺院に伝えたところ、高額な離壇料を請求されたという相談は、国民生活センターにも寄せられています。

改葬元での撤去費用と、改葬先での納骨費用、この双方をトータルで考えていく必要があるということですね。

3. 墓じまいに必要な手続きをおさらい

墓じまいにともなう「改葬」の流れについても簡単に整理しておきましょう。

改葬手続きは「墓地、埋葬等に関する法律」で定められており、自治体から許可をもらう必要があります。一般的な流れを整理しておきましょう。自治体や墓地の管理母体によって詳細が異なる可能性もありますので、必ず確認してくださいね。

  1. 親族や家族の同意を得る
  2. 改葬先(墓地、納骨堂など)を決め、受け入れ証明書をもらう
  3. 現在の墓の管理者(霊園、寺院など)に連絡し、埋葬証明書を発行してもらう
  4. 現在の墓がある自治体に「改葬許可申請書」「埋葬証明書」などを提出→改葬許可証が発行される
  5. 遺骨を取り出す
  6. 改葬先に遺骨をおさめる

一連の墓じまいにまつわる手続きは、お墓にゆかりのある親族や家族の同意を得てから行いたいものです。地域の習慣や、一族の年長者の方の意見にも耳を傾けながらていねいに進めていく必要があるでしょう。

ちなみに、お墓の維持費の滞納が続き、祭祀継承者や縁故者などと連絡がとれない場合、官報に掲載されるとともに貼り紙、立札で通知が行われます。そして、音沙汰のないまま1年経つと、墓地の管理者が自治体の許可を得たうえで無縁墓の撤去を行えるようになります。

少子化が進むいま、この類の事例が増えていくことは仕方がないことなのかもしれません。でも、自分や自分の家族のお墓が、知らない誰かに「しまわれる」というのは、決して愉快な話ではないでしょう。

4. ゴールデンウィークの家族会議で「ウチのお墓、将来どうする問題」話してみませんか?

ちなみに2022年9月に全国石製品協同組合(全石協)が公表した調査結果によると、お墓の購入予定者の48.9%が「七回忌まで」「三十三回忌まで」というようにお墓の使用期限をあらかじめ想定していると回答。

将来の墓じまいを意識しながらお墓を買うことがごく自然になる日も、遠くはないのかもしれません。

日ごろわざわざ話題に出すほどの話ではないけれど、いつかしたいと思っていた「ウチのお墓、将来どうする問題」。大型連休に家族や親戚が集まる機会があれば、話題に出してみても良さそうですね。

参考資料

吉沢 良子