3. 「厚生年金」振込額が少ない!ガッカリした理由とは?
先ほど確認した厚生年金の受給額は、全て「額面」となります。
公的年金においても税金や社会保険料が天引きされるため、実際の受取額は少なくなるのです。
天引き額はお住まいの地域や控除されるものなどによって個人で異なります。
近年は社会保険料の負担が増額傾向にあります。現役世代の人たちが老後を迎える頃には天引きされる金額がより大きくなる可能性があるでしょう。
現時点で将来の天引きされる税金や社会保険料の金額を把握することはできません。
しかし、知識として「老後に受給する年金からは税金や社会保険料が天引きされる」という仕組みを理解しておくと、実際の振込額とのギャップにガッカリする事態は避けられるでしょう。
4. 老齢年金「厚生年金」から天引きされるもの4つ
年金受給開始後は、年金振込通知書で1回に支払われる「年金支払額」を確認することができます。
ただし、年金振込通知書の年金支払額は控除前の金額です。
税金や保険料などが天引きされた後の実際の振込額は「控除後振込額」にてご確認ください。
4.1 天引きされるもの①:介護保険料額
現役時代に給与から天引きされていた「介護保険料」は、年金から控除されます。
4.2 天引きされるもの②:国民健康保険料・後期高齢者医療保険料
介護保険料と同様に、国民健康保険料や75歳以上になると後期高齢者医療保険料が年金から天引きされます。
4.3 天引きされるもの③:所得税額および復興特別所得税額
社会保険料と各種控除額を差し引いた後の額に5.105%の税率を掛けた額が記載されています。
4.4 天引きされるもの④:個人住民税
所得税と同様に、個人住民税も天引きされます。
5. 年金の仕組みを理解し、老後に向けて対策を
本記事では公的年金制度について仕組みや、押さえておきたいポイントを確認してきました。
また、シニア世代の年金受給額についても見てきました。
年金制度はこれまでにさまざまな改定が行われています。
現役世代の人たちが老後を迎える頃には、どのように変化しているかは分かりませんが、人口ピラミッドを鑑みると年金の給付水準が上昇するとは考えにくいです。
老後に「知らなかった」、「こんなはずじゃなかった」と後悔することのないように準備をしていきましょう。
なお、将来の見込年金受給額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」に記載されていますので、一度確認してみてください。
参考資料
和田 直子
執筆者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
元銀行員/一種外務員資格(証券外務員一種)/LIMOマネー編集部金融ライター
一種外務員資格(証券外務員一種)。大学卒業後、株式会社三菱UFJ銀行に入社。三井住友信託銀行に転職後、資産運用アドバイザー業務に約10年間従事。
現役世代からシニア富裕層までの幅広い個人顧客に対し、資産運用コンサルティングを行う。
<主な専門領域>
投資信託、ファンドラップ、外貨預金、生命保険、医療保険、住宅ローン、事業性ローン、贈与、相続、遺言信託、不動産など、多岐にわたる金融サービスと承継対策をワンストップで提案。特に、長期的な資産形成や富裕層向けのウェルスマネジメント、シニア世代への承継・相続の分野で豊富な知識と実績を持ち、表彰歴多数。
現在は、株式会社モニクルリサーチが運営する「くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のマネー編集部にて企画・執筆・編集・監修を担当。
厚生年金保険と国民年金保険(老齢年金・障害年金・遺族年金)、年金制度の仕組み、社会保障、貯蓄、資産運用を専門とする。
NISA、iDeCo、住宅ローン、カードローンなどの国民生活に直結する金融情報を始め、FX、株式投資、金(ゴールド)などの投資経験をいかし仕組みやリスクなどを分かりやすく解説。Yahoo!ニュース経済カテゴリでアクセスランキング1位を多数達成【2025年10月7日更新】
監修者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
LIMO編集部記者/編集者/元公務員
京都教育大学卒業。株式会社モニクルリサーチが運営する、くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部において、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてパートとしてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。ニ種外務員資格(証券外務員ニ種)保有。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。(2025年6月2日更新)