タワーマンションの魅力は、何といっても眺望の良さ!でもそれは、高層階だけのプレミアム。ですが、眺望の良さだけがタワーマンションの魅力ではありません。そもそも眺望の良さだけでは、中層階以下の物件は売れなくなってしまいます。では、眺望の良さ以外のタワーマンションの魅力は何なのか。そして、年収500万円でもタワーマンションを購入するポイントとは何かをご案内しましょう。
地震に強い構造
タワーマンションはその名の通り、高層建築物ですから地震対策は不可欠。したがって、通常より厳しい耐震基準をクリアする免震や制振などの高度な建築技術によって建設されています。ですので、タワーマンションは従来のマンションより地震に強いと言われています。ただ倒壊はしないものの、免震構造だと地震の際は高層階ほど揺れが大きくなります。その点、低層階は揺れが小さくて済むというメリットがありますね。
立地の良さ
ほとんどのタワーマンションは好立地の再開発地域に建設されるので、周辺や建物内に商業施設が併設されているケースが多いです。そのため土地価格が高いので、上に伸ばして総戸数を増やすことで1戸あたりの単価を抑えるわけです。例えば30階建てのタワーマンションと同じ戸数を10階建てで確保しようとすれば、単純計算で3棟分の敷地が必要になりますね。そうなると1戸あたりの土地代の割合が高くなるので、物件価格も高額になります。その意味で、好立地という条件下ではタワーマンションが割安ということです。
そして高層にするためには、通常の容積率や高さ制限などの規制を緩和する必要があります。そのため殆どの場合、敷地の一部を公開空地として一般に開放する総合設計制度を利用して建てられています。それによって敷地の一部を公開したスペースに樹木を植え、ベンチなどを置いたゆとりのある住環境ができ上がります。
共用施設とセキュリティの充実
大規模マンションゆえのスケールメリットとして、共用施設や各種サービスの充実度の高さがあります。殆どのタワーマンションにはキッズルームやゲストルーム、シアタールームなどがあり、ホテルライズされたエントランスやラウンジは高級感がありますね。
そして防犯カメラの設置数も多く、24時間の有人管理体制で警備員が定期的に巡回するマンションも多くなっています。こういった充実した住環境は、タワーマンションならではのステイタスです。
このようにタワーマンションは高層階の眺望だけではなく、立地の良さや充実した施設など様々な魅力があります。高層階になるほどステイタスが高くなり価格が上がりますが、建物自体のステイタスは低層階も同じです。そして何より低層階のメリットは、同じようにタワーマンションの充実したサービスや利便性を享受できるのに価格が割安なことです。つまり眺望の良さとステイタスに目をつぶれば、タワーマンションの低層階はお買い得物件ということです。
4つのポイント
では、年収500万円で買えるタワーマンションの価格はどれくらいなのか、そして何がポイントになるのかを具体的に検証してみましょう。
ポイント1. 高層階にこだわらない
まずは、タワーマンションの価値イコール高層階という考えを捨ててください。眺望が良いというプレミアムと、高層階に住むステイタスを得るためのコストは高くつくのです。ですので、このコストを削減することが、年収500万円でタワーマンションを手に入れるための第一のポイントになります。
ポイント2. 管理費や修繕積立金を考慮した返済額の目安を把握する
物件の購入価格を決める際は、返済額を基準にして考えなければなりません。住宅ローンを利用する場合、金融機関は年収400万円以上なら35%まで融資してくれます。しかし堅実な返済計画をたてるなら、管理費や修繕積立金といった諸経費も考慮しておく必要があります。
ですので、返済額の目安は年収の20~25%で考えるべきです。となると、年収500万円なら年間の返済額は年間100~125万円。月々8~10万円が目安になりますね。それに諸経費を加えて、年収の30%以内に納めるのがポイントです。
ポイント3. できるだけ多く頭金を用意する
頭金以外にも、中古マンションを購入する際は各種税金や仲介手数料などの諸費用が物件価格の7~8%程度必要になることを忘れないで下さい。諸費用は、頭金とは別に用意するお金ですので注意してください。
頭金ゼロでも住宅ローンを利用することは可能ですが、借入額が多くなればその分だけ金利負担が増えるので支払総額が膨らみます。その反面、頭金が多くなるほど金利負担が少なくなり返済額が減ります。同じ返済額であれば、頭金が多ければその分だけ高額物件が購入できるというわけです。こちらの記事でフルローンと頭金を500万用意して「ザ豊洲タワー」を購入した際のシミュレーションをしているので参考にしてください。
ポント4. 築浅物件にこだわらない
購入物件のクオリティによって、借入金利が変わることをご存知でしょうか。例えば全期間固定金利の「フラット35」の場合、取扱金融機関によって違いますが現在の金利は1.7%前後です。しかし住宅金融支援機構の定めた基準を満たすと「フラット35」Sというタイプの住宅ローンを利用出来るのです。これは5~10年という期間限定ですが、更に金利が0.6%引下げられるというメリットがあります。ですので、1%を切った利息で住宅ローンを借りることも可能になるということです。つまり、借り入れ金利を抑えるために物件のクオリティが重要なポイントになるのです。
しかし、ご安心ください。タワーマンションは構造的にもクオリティが高いので、築30年を超えていても殆どの物件が「フラット35」Sに適応しています。ですので、築浅にこだわる必要はないのです。基準を満たしている物件かどうかは、こちらで簡単に確認できます。
物件紹介
では、具体的な物件を例にして検証してみましょう。
プラウドタワー練馬
- 物件価格 3,280万円
- フラット35S(中古タイプ基準)への適合物件
- 総戸数257戸
- 29階建の7階部分
- 1LDK 41㎡
- 築年数2009年(築後6年)
- 管理費 14,405円/月、修繕積立金 4,680円/月
築6年の築浅物件です。まずは、この物件で試算してみましょう。
【ケース1】
- 頭金 ゼロ
- フラット35S(金利Bプラン)
- 当初5年の金利0.990% 6年目以降の金利1.590%
この場合のローン返済総額は41,753,057円になります。返済額は
- 当初5年間 1,109,244円/年、92,437円/月
- 6年目以降 1,206,900円/年、100,575円/月
年収に対する返済比率は、当初5年間で22.2%、6年目以降で24.1%。なんとか25%以内になっていますね。では、これに管理費や修繕積立金といった諸経費を加えて計算してみましょう。
- 当初5年間の諸経費+返済額 92,437円+ 14,405円+ 4,680円=111,522円 年間1,338,264円
- 6年目以降の諸経費+返済額 100,575円+ 14,405円+ 4,680円=119,660円 年間1,435,920円
年収に対する支出の比率は、当初5年で26.8%、6年目以降で28.7%、6年目以降は、30%ギリギリの支出になりますね。
【ケース2】
- 頭金 300万円
- フラット35S(金利Bプラン)
- 当初5年の金利0.990% 6年目以降の金利1.590%
この場合のローン返済総額(3,280万円ー300万円=2,980万円に対するローン)は、37,934,180円になります。返済額は
- 当初5年間 1,007,784円/年 83,982円/月
- 6年目以降 1,096,512円/年 91,376円/月
年収に対する返済比率は、当初5年間で20.2%、6年目以降で21.9%。頭金ゼロのケースに比べて、返済がだいぶ楽になります。これに諸経費を加えてみましょう。
- 当初5年間の諸経費+返済額 83,982円+ 14,405円+ 4,680円=103,067円 年間1,236,804円
- 6年目以降の諸経費+返済額 91,376円+ 14,405円+ 4,680円=110,461円 年間1,325,532円
年収に対する支出の比率は、当初5年で24.7%、6年目以降で26.5%となります。
頭金がゼロと300万円での差はどれくらい?
物件価格3,280万円のプラウドタワー練馬では、頭金の差でどのような違いが生まれるのでしょうか。
- 返済総額 41,753,057円-37,934,180円=3,818,877円
- 月々の返済額 当初5年103,067円-83,982円=19,085円、6年目以降100,575円-91,376円=9,199円
頭金の300万円を差し引くと約80万円の差です。35年で80万の利息しか節約できないのかと思われるかもしれません。しかし、それよりも重要なのは毎月の返済額の差です。当初5年間で返済額が2万円近く少なくなるので、大きく家計に影響を及ぼします。
年間の返済額は500万円の20~25%が目安なので、年間100~125万円程度。頭金ゼロだと6年目以降の年間返済額が120万円を超えて年収の24.1%。それに諸経費が加わりますから月額約12万円になり、実質的には収入に対して28.7%の支出です。
頭金300万のケースなら、年間返済額が6年目以降でも110万円台で21.9%に止まります。それに諸経費を加えても約11万円で、実質的には26.5%の支出で済むので返済額の目安である25%に近い数字になります。
では次に、築36年の物件で試算してみましょう。
ツインタワー住利 毛利館
- 物件価格 2,980万円
- フラット35S(中古タイプ基準)への適合物件
- 総戸数215戸
- 23階建の12階部分
- 2LDK 46.33m2
- 築年数1979年(築後36年)
- 管理費 9,300円/月、修繕積立金 1,900円/月
【ケース1】
- 頭金 ゼロ
- フラット35S(金利Bプラン)
- 当初5年の金利0.990% 6年目以降の金利1.590%
この場合のローン返済総額は、37,934,180円になります。返済額は
- 当初5年間 1,007,136円/年 83,982円/月 返済比率20.1%
- 6年目以降 1,096,512円/年 91,376円/月 返済比率21.9%
- 当初5年間の諸経費+返済額 83,982円+ 9,300円+ 1,900円=93,282円 年間1,119,384円 支出比率22.4%
- 6年目以降の諸経費+返済額 91,376円+ 9,300円+1,900円=102,576円 年間1,230,912円 支出比率24.6%
【ケース2】
- 頭金 300万円
- フラット35S(金利Bプラン)
- 当初5年の金利0.990% 6年目以降の金利1.590%
この場合のローン返済総額は、34,115,303円になります。返済額は
- 当初5年間 906,336円/年 75,528円/月 返済比率18.1%
- 6年目以降 986,124円/年 82,177円/月 返済比率19.7%
- 当初5年間の諸経費+返済額 75,528円+ 9,300円+ 1,900円=86,728円 年間1,040,736円 支出比率20.8%
- 6年目以降の諸経費+返済額 82,177円+ 9,300円+1,900円=93,377円 年間1,120,524円 支出比率22.4%
となります。
頭金がゼロと300万円での差は一体いくら?
物件価格2,980万円のツインタワー住利 毛利館では、頭金の差でどのような違いが生まれるのでしょうか。
- 返済総額 37,934,180円-34,115,303円=3,818,877円
- 月々の返済額 当初5年83,982円-75,528円=8,454円、6年目以降91,376円-82,177円=9,199円
プラウドタワー練馬とツインタワー住利・毛利館の比較
【頭金300万のケース】
- 返済総額 37,934,180円-34,115,303円=3,818,877円
- 6年目以降の返済額 91,376円/月-82,177円/月=9,199円
この物件の場合は、頭金ゼロでも6年目以降の返済比率は21.9%、諸経費を加えると24.6%で実質的な支出は返済額の目安である25%以内。頭金300万円のケースでは、諸経費を加えた実質的な支出は22.4%でかなり家計に優しい返済になります。
ただ、ツインタワー住利毛利館はプラウドタワー練馬より管理費と修繕積立金がかなり安いので、それが全体的な数字を下げている点は考慮しなくてはならないでしょう。しかしここで重要なのは、築年を妥協することで物件価格を抑えることができ、更に月々の返済額を1万円近く減らせるという点です。
上記の試算では、何れも物件もフラット35S(金利Bプラン)の基準に適合していることが前提になっています。しかし、通常のフラット35の金利(1.7%)で試算すれば、まったく違う数字になります。頭金ゼロ 35年固定金利 1.7%として試算すると
物件価格3,280万円のプラウドタワー練馬では、ローン返済総額が43,542,561円になりフラット35S(金利Bプラン)より1,789,504円増。月々の返済額は103,673円で当初5年より11,236円増になります。
物件価格2,980万円のツインタワー住利・毛利館ではローン返済総額は39,560,010円になり、フラット35S(金利Bプラン)より1,625,830円増。月々の返済額は94,191円で当初5年により10,209円増になります。
この返済総額の差は、1年間の返済額に諸経費を加えた支出より50万円以上も多い数字です。そして月々の返済額も1万円以上多くなるのです。つまり「フラット35S」を利用すれば、大幅な返済額の軽減が可能になるということです。そしてその分だけ、タワーマンションの住人になるチャンスが高まるというわけです。
まとめ
タワーマンションに限らず、返済額を軸にして購入可能な価格を算出することが大切です。そして極力頭金ゼロのフルローンを避けて、物件価格の1割程度の頭金を用意することをお薦めします。
築年数が30年を超えていても、「フラット35」Sに適応していてれば大幅に利息が節約できます。それが可能なのが、タワーマンションの特徴であり利点です。上記のポントを参考にして、憧れのタワーマンションライフを手に入れてください。
マンションジャーナル