夫婦世帯において「夫」の死亡時には、「妻」が遺族年金を受け取れるようになっています。
しかし、「妻」の死亡時には「夫」が遺族年金を受け取れないケースもあります。
特に共働き家庭の場合、その点を考慮した生活設計が必要です。
この記事では、遺族年金の制度の内容を解説し、特に注意が必要なケースを紹介します。
1. 夫が亡くなった場合に妻が受け取る遺族年金
夫婦のどちらかが亡くなった場合に受け取れる遺族年金は、亡くなるのが夫か妻かで異なります。ここでは、夫が亡くなった場合に妻が受け取れる遺族年金を解説します。
1.1 子どもがいると受け取れる遺族基礎年金
夫が亡くなった場合、遺族基礎年金は子どもがいる妻だけが受け取れます。
遺族年金での子どもとは18歳到達年度の末日までの子ども、または20歳未満で障害等級1、2級の状態にある子どもです。
本記事の子どもは特に断りがないかぎり、この条件の子どもを指します。
令和6年4月分からの遺族基礎年金の年金額(年額)は、以下のとおりです。
- 昭和31年4月2日以後生まれの妻:81万6000円 + 子の加算額
- 昭和31年4月1日以前生まれの妻:81万3700円 + 子の加算額
また、子の加算額は、以下のようになっています。
- 1人目および2人目の子の加算額:各23万4800円
- 3人目以降の子の加算額:各7万8300円
1.2 厚生年金に加入していた人の妻は遺族厚生年金を受け取れる
夫が厚生年金に加入していた場合、妻は子どもがいなくても遺族厚生年金を一生涯受け取れます。
ただし、子どものいない30歳未満の妻が受給できるのは5年間だけです。
遺族基礎年金を受け取れる子どものいる妻は、遺族厚生年金と併給できます。
遺族厚生年金の年金額は夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。報酬比例部分の計算には加入期間を用いますが、夫の加入期間が300月未満の場合は300月とみなして計算します。
また、以下のいずれかの条件に該当する40歳から65歳までの妻の遺族厚生年金には、61万2000円が上乗せされます(中高齢寡婦加算)。
- 夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で同一生計の子どもがいない
- 子どもが全員18歳到達年度の末日を迎えたため、遺族基礎年金を受給できなくなった
ここまで、夫婦のうち夫が亡くなった場合に妻が受け取る遺族年金について確認してきましたが、妻が亡くなった場合の夫が受給する遺族年金はやや条件が異なります。
次章で夫が受け取る遺族年金について確認していきましょう。