2. インバウンドに向けたお花見のマナーの啓発

多くの外国人観光客が訪れる上野公園

多くの外国人観光客が訪れる上野公園

MMpai/shutterstock.com

インバウンドに限られた話ではありませんが、一部の観光客によるお花見のマナーが問題になっています。枝を折る、木に登るなど、桜を傷つけてしまう行動をする人が一部で存在するのです。

外国人観光客のなかには自国に桜を鑑賞する習慣があまりなかったり、自国の習慣とは違っていたりして、そもそも日本のお花見マナーを知らない人もいます。

文化の違いでお互いが嫌な気持ちになるのを避けるためにも、マナーの啓発は重要と言えるでしょう。ここではお花見スポットとして特に人気がある、東京と京都の取り組みを簡単に解説します。

2.1 東京で実施しているお花見のマナー対策

上野公園や千鳥ケ淵など、あちこちに桜の名所がある東京。日本の首都であることに加え、国際線が発着する羽田空港が近いこともあり、大勢の外国人観光客が訪れます。

都内の桜の名所では「注意書きの文字数が多い」「文字の色が黒いため夜間は見えにくい」といった意見を参考に、2024年はピクトグラムや暖色系の文字を使ってマナーを啓発しています。

また、船の上から桜を鑑賞する目黒川のクルーズ船では独自の取り組みを実施。2024年からはクルーズ船の魅力や注意点を紹介する動画を作成し、乗船の待機場所でも上映するようにしました。

ユーモアを交えた映像のおかげで、今までは航行中に立ってしまう人もいましたが、今年は多くの理解を得て運航できているようです。

2.2 京都で実施しているお花見のマナー対策

嵐山や清水寺など、日本の伝統的な風景を楽しめるのが魅力の京都。春は歴史的な街並みと桜のコラボレーションを求め、国内外からたくさんの観光客が訪れます。

そんな京都でも、お花見のマナー対策を実施中。京都市観光協会会員約1500社や、京都文化交流コンベンションビューロー賛助会員約400社を中心に、京都での観光マナーを啓発するリーフレットを配布しています。

配布したリーフレットは海外の旅行会社向けの情報誌や、飛行機の機内誌に掲載されます。リーフレットで紹介している項目には、「ポイ捨てしない」「道はふさがない」など、お花見マナーに関連するものも含まれていますよ。