2. 投資による資産形成の重要性とは

銀行預金での貯蓄なら元本割れの心配はありませんが、受け取れる利息はほんのわずかです。

さらに、昨今は物価の上昇率が預金金利を上回っており、お金の価値が相対的に低下しているという現実があります。

一見するとリスクがないように思える銀行預金でも、「インフレリスク」にさらされているということを認識しなければなりません。つまり、現在の100万円が、10年後、20年後に同じ価値があるとは限らないのです。

【写真1枚目/全2枚】主な金融商品ごとの特徴。2枚目以降の写真でNISAのポイントに迫る

主な金融商品

出所:金融庁「資産形成の基本」

物価の上昇以外にも、老後2000万円問題、税負担の増加、年金不安など、将来への不安は増すばかり。そこで重要視されるのが投資による資産形成です。

物価の上昇を上回る運用益を期待できるのが投資であり、うまく運用できればゆとりある老後生活を送れる可能性があります。

投資にはリスクがあるので、徹底したリスク管理を行う必要はありますが、運用方法によっては安定した運用成果が期待できます。

3. 新NISAを活用した資産形成

安定した運用成果が期待できる方法の1つが、「新NISA」を活用した積立投資です。積立投資は、「長期・積立・分散」によって投資のリスクを大幅に抑えつつ、複利効果を得られる投資方法です。

さらに、新NISAの口座で積み立てることで運用益が非課税となるので、効率よく資産を増やせる可能性があります。

NISAのポイント

NISAのポイント

出所:金融庁「NISAを知る」

3.1 NISAの口座数は増える一方

そもそもNISAは2014年に始まった制度であり、2024年から新しい制度として始まりました。NISA口座数の推移を見てみると、2014年末には513万口座であったのが、2023年9月末には1356万口座まで増えています。

さらに、新NISAの開始によって口座開設のペースが加速しており、2024年1月末時点で約1530万口座になったそうです。

新NISAの口座数は増える一方であり、今後もその流れが続く可能性があります。しかし、新NISAに対する不安や疑問があり、一歩を踏み出せていない方もいるでしょう。

最後に、新NISAへのよくある不安や疑問についてお答えします。

4. 新NISAへの不安や疑問を解消

よくある新NISAの質問に答えていきます。

4.1 ①新NISAを始めるなら多くの資金が必要になるのでは?月いくらから始められますか?

投資を始めるにはまとまった資金が必要だと思っている方も多いですが、金融機関によっては最低100円から始めることができます。

そのため、初めての投資でまとまった資金を入れるのが不安な方でも、安心して始められます。

中には、普段貯めているポイントで投資できる金融機関もあるので、投資を始めるハードルは決して高くはありません。

4.2 ②最近よく新NISAを勧める記事を見ますが、逆に怪しく感じます。本当にメリットはあるのですか?

確かに、新NISAの利用を勧める記事は多く、最近ではテレビなどでもよく目にします。本当にメリットはあるのか、何か裏があるのではないかと、疑う気持ちもわかります。

しかし、新NISAを活用するメリットはあります。

まずは、新NISAの口座内で得た利益は非課税となる点です。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかるので、その分が手元に残るだけでも大きなメリットといえます。

また、従来のNISA制度に比べて非課税で投資できる金額が増え、非課税で運用できる期間は無期限になったことも大きなメリットです。これにより、より多くの金額を、より長期的な視点で投資することができるようになりました。

自分のお金は自分の力で準備する「自助努力」が求められる時代ですから、長期的な資産形成を非課税で行うことができる新NISAはメリットが大きいのです。

ただし、新NISAで購入できる金融商品には必ずリスクがあるので、仮に損失が発生しても「自己責任」であることに注意しなければなりません。

メリットばかりを主張する記事やメディアもありますが、やり方によっては大きな損失が出てしまう可能性もあるので、投資のリスクをよく理解してから投資を始める必要があります。

前述の通り、「長期・積立・分散」を基本とし、なるべくリスクを抑えた運用を心掛けましょう。

4.3 ③新NISAの口座はどこで開設できる?

新NISAの口座は、銀行や証券会社などの金融機関で開設できます。最寄りの金融機関に足を運んでみてもよいですし、ネットから簡単に申し込むこともできます。

ただし、どこで口座を開設しても同じというわけではありません。取り扱っている金融商品の種類や銘柄数には差があるので、投資したい商品を取り扱っている金融機関を選ぶ必要があります。

また、銀行口座との連携サービスやクレジットカード決済の取り扱い、各種ポイント制度などにも差があります。NISAは1人1口座しか開設できないので、自分に合った金融機関を厳選しましょう。

参考資料

加藤 聖人