2. 「フラット35子育てプラス」を利用しない人のフラット35の返済額はどう変わった?
ここからはフラット35の新しいポイント制度の金利引き下げ効果を、具体例で確認してみましょう。
これまでのポイント制度では、5年単位の金利引き下げの上限が0.5% でした。
そこで、当初10年間で0.5%と当初5年で1.0%の金利引き下げを比較します。
金利1.8%で3000万円を借りて35年で返済する場合を、金融広報中央委員会の「しっかりシミュレーション」を使用して計算します(元利均等返済、ボーナス返済なし)。
当初10年間で0.5%と当初5年で1.0%の金利引き下げでは、効果は同等ではないかと思う人もいるかもしれません。
しかし、上のシミュレーション結果表のとおり、総利息額が当初10年間で0.5%の引き下げで884万3424円、当初5年で1.0%の引き下げでは856万4508円と35年で約30万円の差がつく結果となりました。
これは当初期間の金利が低いほど元本を減らす効果が高くなり、元本の減少によって支払う利息も軽減されるためです。
3. 「フラット35子育てプラス」を利用するケース
「フラット35子育てプラス」を利用する場合、通常の金利引き下げメニューと異なり、金利引き下げの上限がなくなります。
ここでは、以下の条件に該当するケースの金利引き下げ効果を見ていきましょう。
- フラット35子育てプラス(子ども3人):3ポイント
- フラット35S金利Aプラン:2ポイント
- フラット35維持保全型(長期優良住宅):1ポイント
- フラット35地域連携型・子育て支援:2ポイント
合計:8ポイント
これまでであれば、4ポイント(当初10年間0.5%引き下げ)となるケースでした。2024年2月からは、当初10年間1.0%引き下げとなります。
この2つのケースを、金利1.8%で3000万円を借りて35年で返済する場合で試算します(元利均等返済、ボーナス返済なし)。
上のシミュレーション結果表のとおり、総利息額が当初10年間で0.5%の引き下げで884万3424円、当初10年で1.0%の引き下げでは725万6184円と35年で約160万円の差がつく結果となりました。
当初10年で1.0%引き下げでは、金利引き下げ終了後には返済額が大幅に増えます。
しかし、将来にわたって返済額が確定しているため、資金計画は立てやすいでしょう。
4. 住宅ローンの金利上昇を見据え、慎重に住宅ローンを選びましょう
フラット35は変動金利商品に比べて金利が高いため、敬遠する人も多いでしょう。
しかし、住宅ローン金利の上昇が予想される場合、特に長期の返済を予定している人には有力な選択肢となります。
これから住宅を取得する人は住宅ローン金利の動向を注視し、資金準備、住宅ローン選びなどを慎重に進めましょう。
参考資料
- 住宅金融支援機構「家族構成と建て方に合わせた組合せで金利を引下げ!」
- 住宅金融支援機構「2022年10月から【フラット35】の金利引下げ方法が「ポイント制」に変わります。」
- 金融広報中央委員会「しっかりシミュレーション」
松田 聡子