2024年1月19日、厚生労働省より2024年度の年金額引き上げが発表されました。
厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は23万483円(+6001円)、国民年金の満額は6万8000円(+1750円)と、前年度比2.7%の増額となり、増額分の初回支給は6月14日(金)となります。
増額は嬉しいニュースですが、一方で物価上昇率に増額が追いついていないことから、実質的な年金額は目減りしたと考えられています。
長い老後生活を続けるためには「年金」と「貯蓄」が重要なキーワードになってきます。
この記事では、60歳代にして貯蓄2000万円をクリアしている世帯がどれくらいあるのか、また、平均的な年金受給額などを確認していきます。
1. 60歳代「貯蓄額2000万円」を超えている世帯は全体の何パーセント?
60歳代で「貯蓄額2000万円」を超えている世帯は全体の何パーセントになるのでしょうか。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」によると、60歳代二人以上世帯の金融資産保有額は次のとおりです。
1.1 【60歳代】二人以上世帯の金融資産保有額
※金融資産を保有していない世帯を含む
- 平均:2026万円
- 中央値:700万円
60歳代二人以上世帯の貯蓄額は、上記のとおり平均と中央値で約3倍の差が開いています。
平均は一部の富裕層によって数値が引き上げられるため、より実態に近いのは中央値と考えるとよいでしょう。
60歳代の貯蓄額の中央値は700万円という結果ですが、この数字は安心して老後を過ごすために十分な金額といえるでしょうか。
60歳代はこれから老後生活を迎える世帯と、すでに老後生活がスタートしている世帯が混在する世代ですが、貯蓄事情は世帯によって差があります。
ここからは、金融資産保有額ごとの人数割合で「老後2000万円問題」をクリアしている世帯がどれくらいいるのか見てみましょう。
1.2 【60歳代】二人以上世帯の金融資産保有額ごとの人数割合
- 金融資産非保有:21.0%
- 100万円未満:5.9%
- 100~200万円未満:4.5%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:3.0%
- 400~500万円未満:1.9%
- 500~700万円未満:7.2%
- 700~1000万円未満:6.7%
- 1000~1500万円未満:6.8%
- 1500~2000万円未満:5.4%
- 2000~3000万円未満:9.5%
- 3000万円以上:20.5%
- 無回答:3.2%
過去に話題となった「老後2000万円問題」の、2000万円をクリアする世帯は30.0%で全体の3割となりました。
ただし「貯蓄ゼロ」が約2割いることから、貯蓄できている世帯とそうでない世帯が二極化していることがうかがえます。
現代では「退職金制度がない」という会社も数多く存在します。現役世代のうちに貯蓄習慣をつけて、老後に備えておくことが重要です。
では、退職後の収入源となる「年金」について、現代シニアはいくらぐらい受給しているのでしょうか。
次章では60歳~69歳の国民年金と厚生年金の平均受給額を一覧で紹介しています。年金から天引きされる税金についても言及していますので、最後までご覧ください。