消費税率が10%へ引き上げられた際に、年金額が少なく生活が厳しい方を対象として「年金生活者支援給付金」の支給がスタートしました。受給できるのは老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金を受給しており、所得が一定水準以下の方です。

受給している年金の種類により支給要件や金額が異なるため、それぞれの詳しい内容を解説していきます。また、手続き方法についてもご紹介していきますので併せて確認していきましょう。

1. 「年金生活者支援給付金」の対象者や受給要件

年金生活者支援給付金とは、消費税率が10%に引き上げられた分を活用し、公的年金などの所得が一定基準額以下の方に、年金に上乗せして支給する給付金です。

年金受給額が低い方の生活をサポートすることを目的とし、2019年10月から支給開始されています。

年金生活者支援給付金は、受給している公的年金の種類により以下の4つの種類に分かれます。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 補足的老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

それぞれの支給対象者や金額を確認していきましょう。なお、各要件は2023年10月時点のものです。

1.1 老齢年金生活者支援給付金

【支給対象者】
支給対象者は、以下の3つの要件をすべて満たす方です。

  1. 65歳以上で老齢基礎年金(国民年金)を受給している
  2. 世帯全員が市町村民税非課税である
  3. 前年の公的年金の収入とその他の所得との合計額が87万8900円以下である(※)

※障害年金と遺族年金は非課税収入なので含まない

なお、77万8900円超87万8900円以下の方は、次章で解説する「補足的老齢年金生活者支援給付金」の支給対象です。

【支給金額】
国民年金保険料の納付済期間と免除期間に応じて、月額5140円を基準として次の1と2を合計した金額が支給されます。

  1. 保険料納付済期間(月額)=5140円×保険料納付済期間/被保険者月数480月
  2. 保険料免除期間(月額)=1万1041円×保険料免除期間/被保険者月数480月

国民年金保険料を40年(480月)満額納めた場合は、5140円が上乗せ支給されます。

1.2 補足的老齢年金生活者支援給付金

補足的老齢年金生活者支援給付金は、前年の公的年金の収入とその他の所得との合計額が、77万8900円超87万8900円以下の方に支給される給付金です。

前章で解説した老齢年金生活者支援給付金は、基準所得を超えてしまうと受給できず、老齢年金生活者支援給付金の受給者の方が所得が大きくなるケースがあります。このような逆転が生じないようにすることを目的として支給されます。

給付金額は以下の計算式で求めます。

計算式が複雑なので、詳しい内容を知りたいときは給付金専用ダイヤルで相談しましょう。

1.3 障害年金生活者支援給付金

【支給対象者】
障害年金生活者支援給付金は、次の2つの要件をいずれも満たしている方が対象です。

  • 障害基礎年金を受給している
  • 前年の所得が472万1000円以下である

障害基礎年金を受給している方で、障害年金などの非課税収入を除く所得が472万1000円以下の方です。なお、基準所得は扶養親族の人数に応じて増額されます。

【支給金額】
支給金額は障害等級によって以下のように異なります。

  • 障害等級2級:月額5140円
  • 障害等級1級:月額6425円

1.4 遺族年金生活者支援給付金

【支給対象者】
遺族年金生活者支援給付金は、次の2つの要件をいずれも満たしている方が対象です。

  • 遺族基礎年金を受給している
  • 前年の所得が472万1000円以下である

遺族基礎年金を受給している方で、遺族年金などの非課税収入を除く所得が472万1000円以下の方です。なお、基準所得は扶養親族の人数に応じて増額されます。

【支給金額】
支給金額は、月額5140円です。

ただし、遺族基礎年金を受給している子どもが2人以上いる場合は、5140円を子どもの人数で割った金額がそれぞれに支払われます。

ここまで年金生活者支援給付金の対象者や受給要件を確認してきましたが、要件を満たしていても給付金が支給されないケースもあります。

次章で確認していきましょう。