現役時代に会社員だった方は、老後に厚生年金を受給できます。大学卒業後から65歳までずっと働いてきた方の中には、老後は悠々自適な年金生活を送りたいと考えている方もいるでしょう。

厚生年金の受給額は、現役時代の年収や加入期間などにより一人ひとり異なります。たとえば、大学卒業後65歳まで平均年収600万円だった場合、いくらもらえるでしょうか?

この記事では、厚生年金の計算方法を確認するとともに、平均年収600万円の場合の受給額をシミュレーションしていきます。

最後に、年金受給開始を遅らせる繰下げ受給によって年金額がどれくらい増えるのかも見ておきましょう。

1. 平均年収600万円だと年金はいくらもらえる?

大学を卒業後65歳まで平均年収600万円で働いてきた方は、厚生年金をいくら受給できるのでしょうか。

厚生年金受給額の計算方法を確認するとともに、平均年収600万円の場合の受給額をシミュレーションしていきましょう。

1.1 厚生年金の計算方法

厚生年金受給額は、以下の計算式で求めます。

〇報酬比例部分(厚生年金受給額)=A+B

A:平成15年3月までの加入期間
平均標準報酬月額(※)×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間月数

※平成15年3月以前の期間で、各月の標準報酬月額の総額を平成15年3月以前の加入期間で割った金額

B:平成15年4月以降の加入期間
平均標準報酬額(※)×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間月数

※平成15年4月以降の期間で、各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を平成15年4月以降の加入期間で割った金額

平成15年3月までと4月以降とでは計算式が異なるため注意しましょう。

1.2 平均年収600万円の厚生年金は月額18万3000円

では、平均年収600万円の場合の厚生年金受給額を計算していきましょう。

会社員の方が保険料を納付しているのは厚生年金ですが、国民年金にも加入しているため、両方の合計額が受給額になります。

なお、計算をわかりやすくするため、平成15年4月以降の計算式を利用します。

【平均標準報酬額】
平均年収600万円なので、月額では50万円です。
【加入期間】
大学を卒業後65歳まで働くと、加入期間は42年(504ヵ月)です。

厚生年金受給額=平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間月数
=50万円×5.481/1000×504ヵ月=138万1212円

したがって、厚生年金は年額138万1212円を受給できます。

また、国民年金は40年間(480ヵ月)納付すると、満額の81万6000円を受給できます(令和6年度)。

厚生年金は138万1212円、国民年金は81万6000円なので、合計で219万7212円が受給額となります。月額に換算すると、約18万3000円です。

大卒後65歳まで働き、平均年収が600万円の場合、厚生年金は月額約18万3000円ということがわかりました。

1ヵ月あたり50万円の収入があった現役時代と比べると、18万ほどの年金だと心もとなく感じる方もいるでしょう。

そのような場合は、繰下げ受給をすると年金額を増やすことが可能です。

では、繰下げ受給によって年金額はどれくらい増えるのでしょうか。次章で増額率や増額された年金額を確認していきます。