2. 地震保険の都道府県別の世帯加入率は?
次に地震保険の世帯加入率も見ていきます。
世帯加入率とは全世帯のうち地震保険に加入している割合です。火災保険の加入の有無にかぎらず、地震保険に加入しているかどうかを示した数値です。
地震保険加入率の全国平均は35.0%と、前年比0.4ポイントの上昇となっています。都道府県別でもほとんどが前年から加入率が上昇しています。
ただし、全世帯のうち地震保険に加入している割合は35%で、都道府県別で50%を超えているのは宮城県だけです。
3. 地震保険に加入すべきかどうか
全国平均で全世帯のうちの地震保険の加入率は35%、火災保険に加入しているうちの地震保険の付帯率は69.4%です。地震保険の普及は拡大しているものの、加入していない世帯も多いとわかりました。
3.1 地震保険の加入率が低い理由
地震保険の加入率は、主に以下の理由から低いと考えられます。
- 地震保険の保険料が高い
- 地震保険の保険金額は火災保険金額の50%までしか設定できない
地震保険の保険料は、建物の構造と所在地によって一律です。地震のリスクが高いとされる地域の保険料は高く設定されています。
たとえば、保険料率が高いとされる千葉県、東京都、神奈川県、静岡県などの木造、火災保険金額1000万円の保険期間1年あたりの保険料は4万1100円です。この保険料を負担しても、いざというときは全壊した建物の再建に十分な補償を受けられないわけです。
3.2 住宅ローンの残債があるなら地震保険に加入したほうがよい
地震保険の保険料は高く、加入しても地震のリスクのすべてをカバーできません。しかし、地震で住宅ローンの残債のある家が全壊した場合、ローンの支払いは残ります。もし、一括返済できなければ、住めない家のローンを払い続けなければなりません。
そのような場合、やはり頼りになるのは地震保険ではないでしょうか。特に家を建てたばかりで残債の多い人は、一部の保険会社で取り扱う地震保険の上乗せ補償も検討してみましょう。
地震保険の上乗せ補償は、火災保険金額の50%を上乗せして地震保険と合わせて100%まで補償される特約です。保険料が高いため慎重に考える必要がありますが、地震のリスクが高い人にはメリットのある補償といえます。
4. 大地震が発生した際のリスクを想定しておきましょう
全国的に地震のリスクが高めの日本においては、誰もが地震の際の経済的な備えを考えておく必要があります。地震保険はまとまったお金が用意できない人には、有益な備えです。
起こるかどうかわからない地震のためにコストをかけるのは、気が進まない人もいるかもしれません。しかし、発生した場合の損害の大きさも考え、できる範囲で加入を検討してはいかがでしょうか。
参考資料
- 内閣府「令和6年能登半島地震による被害状況等について(令和6年3月26日14:00現在)
- 損害保険料率算出機構「グラフで見る!地震保険統計速報」
- 損害保険料率算出機構「地震保険 地方(市・区等)別付帯率」
- 財務省「地震保険の基本料率(令和4年10月1日以降保険始期の地震保険契約)」
松田 聡子