3. 年齢別の平均年収

続いて年齢による平均年収の違いも確認しましょう。

年齢階層別かつ男女別の平均年収は次のとおりです。

年齢階層別の平均年収

年齢階層別の平均年収

出所:国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」

基本的には年齢があがるほど平均年収が伸びていきますが、50歳代後半がピークで60歳代からは下降します。

60歳ごろを境に、役職定年で給与が下がるケースを反映したものと考えられます。

なお男女別でみると、男性は同じく50歳代後半まで上昇傾向となり、最終的には700万円台まで到達します。

対して女性は非正規雇用で働く方も少なくないためか、年齢に応じた上昇カーブはみられません。

4. 業種別の平均年収

平均年収は業種別でも差がつきます。

業種別でもっとも平均年収が高いのは電気・ガス・熱供給・水道業の747万円で、最も低かったのは宿泊業・飲食サービス業の268万円です。

両者では500万円近い差があり、業種選びによって期待される年収に大きな差がでます。

高収入を狙いたいなら、業種選びは重要な要素のひとつといえるでしょう。

5. 年収を高めるための3つのポイント

今回の調査結果をふまえると、年収を高めるポイントは次の3点にあります。

5.1 正社員にこだわるのが基本的には望ましい

正社員と非正規では平均年収に300万円以上の差があります。

この差を埋めるのは容易ではないため、特殊な技能を持っているなど独自の強みがないかぎりは、まずは正社員にこだわるのが有効な選択肢となります。

家庭の事情で「非正規しか無理」と思い込んでいても、在宅勤務が可能な企業で正社員を目指せる可能性もあります。

一旦は非正規雇用で働き始めたとしても、年収上昇にこだわるなら正社員の選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

5.2 働き続けていれば年収は上がる可能性が高い

日本の企業ではまだまだ年次と共に給与が上がる傾向にあるため、年齢と平均年収は特に男性において比例します。

女性についても男性と同じ正社員の雇用形態であれば、男女で給与格差をつけることは禁じられているため、やはり年齢と共に年収の上昇が期待できます。

5.3 業種選びが重要に

統計を見ると、業種による年収格差が特に大きいことがわかります。

年収と自分がやりたいことを比較検討する必要がありますが、もし年収を重視するなら、まず平均年収が高い業種で働くのが重要です。

若いうち、特に20歳代であれば業種をまたぐ転職のチャンスも相対的に豊富なので、将来の年収を高めたいなら早めに転職を検討するのも一案です。

6. まとめにかえて

日本の平均年収は、2022年時点で458万円。

しかしこれは非正規を含んだ水準で、正社員に絞ると523万3000円となります。

また統計を見ると、年齢や業種による年収差も大きいことがわかりました。

物価高が進む今、キャリアを考えて年収アップを目指す場合、転職も視野に入れるといいでしょう。

参考資料

太田 彩子