2024年3月に公表された内閣府「生活設計と年金に関する世論調査」によれば、老後「全面的に公的年金に頼る人」は26.3%でした。
7割以上の人は公的年金のみに頼らず、貯蓄などでセカンドライフを送ると考えられます。
人生100年時代と言われるようになって久しいですが、日本でセカンドライフを送るにはどの程度お金が必要になるのでしょうか。
今回は65歳以上・二人以上世帯の貯蓄額の平均や実際にかかっている生活費など、シニアのお金事情について深堀りしてみましょう。
1. 【65歳以上・二人以上世帯】貯蓄額の平均は?「老後2000万円問題」はクリアできてる?
最初に、65歳以上「夫婦世帯」の貯蓄額は平均でどのくらいあるのか確認していきましょう。
総務省統計局が公表している「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄の分布は下記の結果になりました。
- 平均値:2414万円
- 中央値:1677万円
平均値は、全ての数値を足してデータの個数で割ったものです。極端に大きい(小さい)数値に寄ってしまう傾向にあります。
一方、中央値はデータを数値の大きい(小さい)順に並べた時に真ん中にくるものを指しますので、実態に近い数値については中央値を参考にするとよいでしょう。
貯蓄額2000万円を超える世帯が全体の42.5%を占めている一方で、100万円未満の世帯も7.8%いることがわかりました。また、貯蓄額が1000万円に満たない世帯は約36%でした。
「老後2000万円問題」が話題になりましたが、貯蓄を切り崩して生活していくには資産が足りない世帯の方も多いようです。
セカンドライフは貯蓄と年金が生活の基盤となりますが、現代シニアの年金はいくらぐらいなのでしょうか。
次章で厚生年金と国民年金の平均受給額を確認していきましょう。
2. 【65歳以上・二人以上世帯】年金の平均受給額をチェック。年金だけで生活できる?
ここからは厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に年金の平均受給額を見ていきましょう。
2.1 厚生年金の平均月額はいくら?
- 全体:14万3973円
- 男性:16万3875円
- 女性:10万4878円
厚生年金は国民年金に上乗せして加入する年金です。
厚生年金は「国民年金+厚生年金」と2階建てで年金を受給することができるため、国民年金より年金額が高くなる傾向にあります。
ただし、厚生年金部分は現役時代の年金加入期間と年収によって金額に差があるため、受給できる金額には個人差が大きく出るのもポイントです。
2.2 国民年金の平均月額はいくら?
- 全体:5万6316円
- 男性:5万8798円
- 女性:5万4426円
国民年金のみでは5万6316円となりました。
自営業や専業主婦などで「老後は国民年金のみ」という人は、現役時代に十分に資産を備えておかなければ年金頼りに生活するのは難しいといえそうです。