3. 70歳代の平均貯蓄額
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」を基に、70歳代の貯蓄状況を見てみましょう。
3.1 <70歳代・二人以上世帯>
- 金融資産非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%
- 平均値:1757万円
- 中央値:700万円
3.2 <70歳代・単身世帯>
- 金融資産非保有:26.7%
- 100万円未満:5.8%
- 100~200万円未満:4.3%
- 200~300万円未満:4.1%
- 300~400万円未満:3.3%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.6%
- 700~1000万円未満:5.1%
- 1000~1500万円未満:8.6%
- 1500~2000万円未満:5.3%
- 2000~3000万円未満:8.2%
- 3000万円以上:17.3%
- 平均値:1529万円
- 中央値:500万円
70歳から90歳まで毎月3万円ずつ不足する生活が続くと仮定して単純計算すれば、720万円が不足する計算です。
より実態に近いとされる中央値を見ると、二人以上世帯で700万円、単身世帯で500万円となっているので、十分な貯蓄額とは言えないのではないでしょうか。
4. 今すぐ始められる老後対策3選
物価の上昇や税負担の増加などを踏まえると、早めに老後資金の準備を始めておく必要があるでしょう。老後を迎えてから後悔しないよう、今すぐ始められる老後対策を3つ紹介します。
4.1 老後対策1. ライフプランシミュレーション
まずは、老後の収入や支出を見通したライフプランをシミュレーションしておくことが大切です。無料でシミュレーションできるWebサイトもあるので、ぜひ活用してみましょう。
老後の年金収入については、日本年金機構の「ねんきんネット」にて見込み受給額を確認することができます。
ライフプランシミュレーションを行うことで、将来不足する可能性がある金額を把握することができ、老後破産を防ぐための対策を練ることができます。
より詳細なシミュレーションやアドバイスが必要な場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのも1つの方法です。
4.2 老後対策2. 家計の見直し
ライフプランを立てた結果、今のままの生活を続けていては老後資金の確保が難しいという現実に直面する可能性があります。
その際は家計収支の把握と見直しを行い、生活費を抑えることを考えてみましょう。
水道光熱費、通信料、保険料などの固定費を削減できれば、年間を通して数万円から数十万円を節約できる可能性があります。
4.3 老後対策3. 貯蓄と資産運用
家計収支の把握と見直しによって余剰資金を確保できたら、生活に支障のない範囲で貯蓄や資産運用に回すことを検討しましょう。
リスクを取りたくない方は銀行預金などで堅実に貯蓄、多少のリスクを許容できる方は積立投資などで運用益を狙うのがおすすめです。
投資を行う場合はNISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用し、長期的な視点で運用しましょう。
5. 早めの行動でゆとりある老後を
老後資金の準備は、一朝一夕でできるものではありません。
老後を迎えてから多くの資金を準備するのは難しいので、長い時間をかけてコツコツと準備することが大切です。
現在の年齢によって老後対策を行える期間は異なりますが、なるべく若いうちから準備を始め、ゆとりある老後を迎えましょう。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査 2023年(令和5年)平均」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
- 日本年金機構「ねんきんネット」
- 総務省統計局「家計調査 / 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表」
- 総務省統計局「家計調査 / 家計収支編 単身世帯 詳細結果表」
加藤 聖人