2. 【結論】住宅ローンは繰り上げ返済すべき?元銀行員が本音で語る
元銀行員の筆者ですが、住宅ローンを借りているお客様の中で積極的に繰り上げ返済を行う割合は、実はそれほど高くありませんでした。
60歳代で定年を迎えた際に、退職金で一気に繰り上げ返済をするという方もいますが、住宅ローンを借りているほとんどの方は日々の余剰資金を貯蓄や投資に回していた印象です。
マイナス金利解除がささやかれる中、低金利のうちに返してしまったほうがいいのか悩む方も多いかもしれませんが、住宅ローンは長期間で無理なく返せることを前提として融資されているものです。
住宅ローンを繰り上げ返済してから、すぐに急な出費がないとも言い切れません。結論としては「無理に返済する必要はない」といえそうです。
繰り上げ返済の実行は、住宅ローン控除を含めた総合的な計算と判断が必要です。
繰り上げ返済による資金不足で生活に不安が残るぐらいなら、余剰資金は予備資金として貯蓄したり、NISAやiDeCoなどの資産運用に回して増やす工夫をしてみるのがよいのではないでしょうか。
2.1 【参考①】住宅ローンの残高平均(年収別)
【年収:住宅ローン残高の中央値・平均値】
- 300~500万円未満:500万円・937万円
- 500~750万円未満:1000万円・1283万円
- 750~1000万円未満:1100万円・1592万円
- 1000~1200万円未満:1075万円・1453万円
- 1200万円以上:1500万円・1905万円
※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。
2.2 【参考②】住宅ローンの残高平均(年代別)
【年代:住宅ローン残高の中央値・平均値】
- 30歳代:1710万円・1736万円
- 40歳代:1400万円・1480万円
- 50歳代:800万円・995万円
- 60歳代:225万円・766万円
- 70歳代:100万円・463万円
※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。
3. まとめにかえて
今回は、住宅ローンの繰り上げ返済のメリット・デメリットや、年収別・年代別の住宅ローン残高を紹介してきました。
マイナス金利解除で住宅ローン金利への影響が注目されている中、繰り上げ返済は大きなテーマとなるでしょう。手元に余裕資金があれば、残高を減らすために繰り上げ返済を検討されるかもしれません。
しかし、筆者の経験では住宅ローンを利用しているほとんどの方が、余剰資金を貯蓄や資産運用に回していました。現在の住宅ローンは低金利のため、ローンの利息よりも運用の利回りによる利益のほうが大きくなる可能性があります。
もちろん資産運用による利回りは確実ではなく、リスクを伴うため慎重に検討することが大切です。
本記事が繰り上げ返済を検討している方の参考になれば幸いです。
参考資料
中本 智恵