日銀は3月19日の金融政策決定会合で、「マイナス金利政策」を解除し、金利を引き上げることを決定しました。

日銀による利上げはおよそ17年ぶりで、日本の金融政策は大きく転換することになります。マイナス金利が解除されれば住宅ローンの変動金利にも影響が出るでしょう。

住宅ローンを借りている多くの人は、借入期間が長くなると支払う利息も増えるため、ローンを早く完済したいと考えていることと思います。

しかし、ただ繰り上げ返済を行うだけが必ずしも良いとは限りません。

本記事では、住宅ローンを返済する前に考慮すべき優先事項や、繰り上げ返済のメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。

1. 繰り上げ返済のメリット・デメリット

まずは繰り上げ返済のメリット・デメリットを考えていきましょう。

1.1 繰り上げ返済のメリット①利息負担が減る

繰り上げ返済をすると、当然のことながら残りのローン残高を減らすことができます。

これにより利息や返済期間が短縮され、総返済額を減らすことができるのがメリットです。

また、完済後は住宅ローンにかかるストレスやリスクがなくなり、経済的な安定感が得られるのも大きなメリットです。

1.2 繰り上げ返済のメリット②将来の金利上昇リスクへの対策

繰り上げ返済によって、将来的な金利上昇による返済負担を緩和することができます。

特に日本では低金利が続いているため、今のうちに住宅ローンを繰り上げ返済しておくと、金利が安いうちに返済ができるというメリットがあります。

これらのメリットを考慮すると、繰り上げ返済は借金の早期解消や金利負担の軽減、将来のリスク対策など、経済的な安定や選択肢を増やすための有効な手段といえそうです。

ただし、住宅ローンを繰り上げ返済すると以下のようなデメリットもあることを知っておきましょう。

1.3 繰り上げ返済のデメリット①資金の流動性が低下する

繰り上げ返済した資金は住宅ローンに縛られ、緊急時や他の投資機会に対応するための流動性が低下します。

繰り上げ返済した資金は再び手元に戻すことが難しい場合があります。

1.4 繰り上げ返済のデメリット②機会損失の可能性がある

繰り上げ返済に使った資金は、NISAなどの投資で資金を増やす機会を失うことになります。

本来なら投資によって得られるであろう利益やリターンが失われる可能性があるという点で、繰り上げ返済はデメリットと考えられるでしょう。

1.5 繰り上げ返済のデメリット③税制上のメリットが減る

住宅ローンの利子は所得税の控除対象となる場合があります。

繰り上げ返済によってその利子が減少し、税制上のメリットを失うことになる場合があります。

1.6 繰り上げ返済のデメリット④手数料が発生することがある

一部の住宅ローン契約では、繰り上げ返済に対する手数料が課せられる場合があります。手数料は契約によって異なりますが、費用によっては繰り上げ返済の効果を相殺する可能性があります。

これらのデメリットを踏まえて、繰り上げ返済の利点とデメリットを総合的に考慮して判断することが重要です。

1.7 繰り上げ返済のデメリット⑤団信の保険金額が減ってしまう

繰り上げ返済をすると、団信の保険金が減ってしまいます。団信は住宅ローンの返済中に万が一の場合に備える生命保険であり、通常は住宅ローン残高と同額の保険金が支払われます。

しかし、繰り上げ返済をしている場合、返済額に応じて保険金が減ることがあります。全額繰り上げ返済をしてから亡くなってしまった場合は、住宅ローンの残高がないため団信の保険金もありません。

また、がんなどの疾病により返済が免除される場合もありますが、繰り上げ返済後は保険金が減少するため、治療費などに充てることができる資金が減ってしまう可能性があります。

そのため、団信に加入している場合は、繰り上げ返済を行う際には保険金の減少を考慮し、万が一の事態に備えて手元資金を残すというのもひとつの方法です。