既存店売上高を見てみよう
次に、小売り産業を分析する上では欠かせない、既存店売上高の推移を見てみましょう。
まず、すき家ですが、既存店売上高は足元では2017年11月以降100%を超えており、堅調といえます。客数は11月は100%を割れていましたが、12月に入り100%を超え、その傾向は続いています。客単価については、2018年3月期の2017年4月から2018年2月まで、毎月100%を超える状況となっています。
吉野家もすき家と似たような傾向です。既存店売上高自体は2017年11月から100%を大きく上回っており、こちらも堅調です。客数は2017年4月から8月まで100%を割れる状況でしたが、2017年11月以降は100%を超えています。客単価についても2018年2月期の2017年3月から2018年1月までは100%を超えていました。ただ、2018年2月には88.5%と100%を大きく割り込んでいます。
松屋の足元の既存店売上高は、ほぼ100%水準といえます。100%を若干超えたり、割れたりという状況です。その内容を見ると、客数が2017年9月以降2018年2月まで連続して100%を割り続けています。一方、客単価は2018年3月期の2017年4月から連続して100%を超えています。
このように、牛丼ビック3では客数のアップダウンはあるものの、客単価についてはどのチェーンも結果的に引き上げることができているといえます。
今後の牛丼業界はどうなるのか
牛丼チェーンは店舗数全体で見るとやや飽和状態にありますが、既存店ベースで見れば、客数を意識しながら単価をいかに上げていくことができるかというのが各社の経営の目線ではないでしょうか。
値段が上がると困るという方もいらっしゃるかと思いますが、ハンバーガーなども値上がりしている印象を受ける中、少しの値上げなら我慢できるのか、それとも消費者は別の食べ物に足を向けてしまうのか...。今後の業界の動きに注目です。
青山 諭志