鉄鋼とアルミニウムの輸入関税では、いち早くカナダ、メキシコ、オーストラリアが除外されたことから、輸入関税と中東政策とがリンクしているのではないかとの思惑を生んでいます。

昨年12月、イスラエルの首都をエルサレムに認定した米国に撤回を求める国連決議が採択され、日本を含む128カ国が賛成。米国、イスラエルなど9カ国が反対、35カ国が棄権に回っています。

これに対しトランプ大統領が賛成した国への経済援助の停止を表明したほか、米政府は「米国は投票結果を決して忘れない」と強調しました。

国連決議では、カナダ、メキシコ、オーストラリアが棄権に回っていたことから、今回の適用除外は米国が“投票結果を忘れていない”ことを匂わせているわけです。

トランプ大統領の中東政策は、エルサレムの首都認定やイランとの核合意見直しなど、さまざまな点で日欧とは見解の相違が見られます。

中東問題に限った話ではありませんが、米国からの譲歩を引き出すには、まずは中東問題での協調が求められることを覚悟する必要があるのかもしれません。

極論ではありますが、輸入関税は何があっても米国と行動を共にする友であるのか、それとも敵であるのかのリトマス試験紙となる恐れもありそうです。

ロシア疑惑の煙幕?

こうした米国第一主義の打ち上げ花火が続く中、ロシア疑惑の捜査がトランプ大統領本人へと近づいている模様です。

ニューヨーク・タイムズ紙は3月15日、モラー特別検察官がトランプ氏が経営していた「トランプ・オーガニゼーション」に捜査令状を出したと報じています。

同社は2015年にモスクワにトランプタワーの建設を計画していたとされており、モラー氏は同社の活動と大統領選挙との関係を調べているようです。

また、2月23日にはトランプ陣営の元選対本部長ポール・マナフォート被告の右腕だったリック・ゲーツ被告が司法取引に応じています。

トランプ陣営からこれまでに起訴された4人のうち、マナフォート被告を除く3人が司法取引に応じており、司法取引を拒んでいるマナフォート被告が翻意するのかどうかが注目されています。

ロシア疑惑には3つの柱があり、1つは大統領選挙におけるロシアとトランプ陣営の共謀の有無です。ロシア疑惑の根幹部分ではありますが、立証は困難と見られています。

2つ目が司法妨害の有無です。昨年5月にコミー米連邦捜査局(FBI)長官(当時)が解任され、この解任が司法妨害に当たるのではないかと見られています。

さらに、今年1月にはコミー氏の腹心であったマケイブFBI副長官が辞任しており、トランプ大統領からの圧力との憶測が流れています。

トランプ大統領はかねてからマケイブ氏に対する批判を続けていましたので、同氏の辞任によりトランプ大統領への司法妨害の嫌疑がますます強まっています。

3つ目がトランプ氏およびその周辺人物とロシアとの不透明なビジネスであり、今回の捜査令状やゲーツ被告、マナフォート被告の関与が疑われています。

また、捜査令状が明るみに出た15日には、トランプ氏の長男ジュニア氏の離婚が伝えられています。関連は定かではありませんが、絶妙なタイミングであったことからトランプ一族への捜査の手が迫っているとの憶測を呼んだようです。

弾劾の可能性がある司法妨害の疑いに加え、一族が一網打尽となる恐れがある脱税や資金洗浄など不適切なビジネスに対する嫌疑についてもトランプ包囲網が狭まっているようで、モラー氏解任のうわさは後を絶ちません。

ややうがった見方ではありますが、トランプ大統領の対中強硬路線をはじめとする一連の外交政策は国民の目を海外に向けさせること、すなわちロシア疑惑への煙幕との見方もあるわけです。

LIMO編集部