昨今の物価上昇の影響もあり、電気代や食費が例年より高くなってしまうかも……と心配する人も少なくないのではないでしょうか。

そうなると心配なのが、定年を迎えた後の暮らし。「老後生活では年金がもらえるから大丈夫」と考えなしに過ごしていると、思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性もあります。

たとえば「月20万円」の厚生年金を受給したいと思っている場合、その受給額が平均と比較してどういった状況かを理解しておく必要があります。

今回は、厚生年金「月額20万」を目安に、シニアの年金事情について確認していきたいと思います。

1. 【2024度】標準的な夫婦の厚生年金受給額は「月23万円超」

一般的な年金の受給開始年齢は65歳からと設定されていますが、一般的な年金受給額の目安はいくらでしょうか。

年金額は毎年度改定されるため、最新である2024度の年金額例を見てみましょう。

 

1.1 2024度の年金額モデル(国民年金と厚生年金):月額(前年度比)

  • 国民年金(満額):6万8000円(+1750円)
    昭和31年4月1日以前生まれの方は月額 6万7808 円(+1758 円)
  • 厚生年金※:23万483円(+6001円)

※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合の「老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)」。

国民年金で見ると月額で+1750円の増額で、満額は6万8000円でした。

一方で、厚生年金の標準夫婦である「会社員の夫と専業主婦の妻」では、月額23万超へ。これまで22万円台でしたが、2024年度は23万円を超えました。

年金額は毎年度、物価や賃金などの動向をうけて見直されます。しかし、年金制度の維持も目的としているため、物価や賃金と同レベルの年金額引き上げとはいかない仕組みになっています。

今回も物価高ほどは増額となっていないので、実質的には目減りといえるでしょう。

さらに、社会保険料や税金などをひいた残りで生活するため、年金だけで生活できない人もいるかもしれません。

2. 【厚生年金】最新の「平均年金月額」はいくら?

厚生年金は国民年金よりも受給額が手厚いといわれていますが、実際にはどのくらい受け取れるのでしょうか。

厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和4年度の厚生年金の全体及び男女別の平均受給額は下記の結果となりました。

  • 男女全体平均月額:14万3973円
  • 男性平均月額:16万3875円
  • 女性平均月額:10万4878円

(※厚生年金の年金額には国民年金が含まれます)

前述したように、厚生年金は現役時代の加入期間や年収によって年金受給額が大きく影響するため、個人差だけでなく男女差も大きくなっています。

単身世帯も夫婦二人世帯も、それぞれ「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で年金見込額を確認した上で、老後の年金暮らしについて考えることをおすすめします。

3. 厚生年金を「月額20万円以上」受給できる人の割合は15%未満!

それでは、今回フォーカスしていた厚生年金「月額20万円」を超えるシニア受給者はどれくらいいるのでしょうか。

厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金を受給する総数1599万6701人のうち、厚生年金「月額20万円以上」を受け取っている人と割合は下記のとおりです。

  • 全体:236万2838人(14.7%)
  • 男性:230万765人(14.4%)
  • 女性:6万2073人(0.4%)

※小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計値が必ずしも100とはなりません。

月額20万円以上の厚生年金を受給している人数は全体で236万人程度となっており、全体の15%にも満たない結果となっています。

全体のボリュームゾーンは「月額10万円以上〜11万円未満」であり、平均月額よりも低いのが現状です。

手厚いと言われる厚生年金でも、月額20万円以上を受け取ることができる人は決して多くないようです。