1962年5月生まれの男性から以下の相談が寄せられました。
「現在62歳。そろそろ退職や年金のことが気になり始めました。
65歳より前に支給される特別支給の老齢厚生年金というものがあると聞きましたが、自分は受け取れるのでしょうか」
本記事では、特別支給の老齢厚生年金が支給される年代について解説します。
公的年金制度の仕組みを理解して、老後の生活設計を考えてみましょう。
1. 特別支給の老齢厚生年金とは
会社員などが老後に受け取る年金の種類は、大きく次の3つに分類できます。
- 特別支給の老齢厚生年金
- 老齢基礎年金
- 老齢厚生年金
「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金(※)」は65歳から支給される年金で、65歳よりも前に支給されるのが「特別支給の老齢厚生年金」です。
(※)「特別支給の老齢厚生年金」と区分するため「本来の老齢厚生年金」とも言います。
老齢厚生年金の支給開始年齢は60歳から65歳に引き上げられましたが、一度に5歳も引き上げると改正前後で不公平感が出るため、段階的に引き上げる経過的な仕組みとして「特別支給の老齢厚生年金」が設けられました。
そのため、「特別支給の老齢厚生年金」の支給開始年齢は、一人ひとり生まれた時期によって異なります。
また、支給開始年齢の引上げが完了すると、「特別支給の老齢厚生年金」という制度自体もなくなります。
2. 「特別支給の老齢厚生年金」の支給要件
「特別支給の老齢厚生年金」の支給要件は次の通りです。
なお、男性と女性では要件が異なります。
- 男性は1961年4月1日以前生まれ
- 女性は1966年4月1日以前生まれ
- 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)がある
- 厚生年金保険などに1年以上加入
- 生年月日に応じた支給開始年齢に到達
3. 「特別支給の老齢厚生年金」の支給開始時期
今後支給が始まる「特別支給の老齢厚生年金」の支給開始年齢は、性別と生年月日により次の通りです。
1961年4月2日以降に生まれた男性と1966年4月2日以降に生まれた女性は、「特別支給の老齢厚生年金」は受けられません。
老齢年金の支給開始年齢は65歳となるため、65歳までの生活費を事前に準備するか、仕事を続けるなどの対応が必要です。