3. 「低年金・無年金」になる2つのケースとは

前章では、厚生年金と国民年金の平均月額について見ていきましたが、受給割合をみると平均額以下の人も多く存在していることがわかります。

「現役時代の年収が低い」「加入期間が短い」「保険料の未納期間がある」など、考えられるケースはいくつかありますが、そのほかの理由でも「低年金・無年金」となるケースは存在します。

本章では「低年金・無年金」になる2つのケースについて紹介していきます。

3.1 受給資格期間の不足

年金は、受給資格期間が足りないと受け取れないケースがあり、その場合は無年金となります。

年金を受給するためには、「保険料納付済期間」と「保険料免除期間」の合計が10年以上である必要があります。

万が一、年金保険料を支払っていても、支払い期間が10年に満たない場合は年金受給ができずに「払い損」となってしまうため、未納期間がないか必ず確認しておきましょう。

3.2 年金の不整合記録問題

年金の不整合記録問題が起こっている場合も、低年金・無年金になる可能性があるため注意が必要です。

前述したように、日本の公的年金は2階建て構造になっており、1階部分は国民年金加入者の「第1号被保険者〜第3号被保険者」に分類されます。

日本の公的年金は2階建て構造

日本の公的年金は2階建て構造

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

「第1号被保険者〜第3号被保険者」のうち「第3号被保険者」は、公務員や会社員などに扶養されている配偶者を指し、個人で年金保険料を納める必要はありません。

しかし、「第3号被保険者」に該当する配偶者が、パートや正社員などで扶養から外れて働くようになったり、離婚といった理由で第3号被保険者でなくなったりした場合は、「第1号〜2号被保険者」となるため、年金保険料を納める必要が出てきます。

この際に、手続き漏れがあると、年金保険料の未納期間が発生してしまうため、低年金・無年金になる懸念が出てきます。

上記を「3号不整合記録問題」といい、もし該当していた場合は救済措置が用意されているため、早急に年金事務所に相談することが大切です。

4. 親の年金が少ない時に考えたいこと

本記事では、国民年金・厚生年金の平均受給額とともに、「低年金」や「無年金」になる理由について詳しく解説していきました。

親の年金収入が極端に少ない場合は、今回紹介した「受給資格期間の不足」や「不整合記録問題」などを確認してみましょう。

上記に問題がない場合は、「年金生活者支援給付金」といった国からの助成が受けられないか検討してみると良いでしょう。

また、公的年金は「受け取れる年金の種類」や「現役時代の年収・加入期間」などによって、受給額が変わるため、今一度ご自身の年金状況を確認しておけると安心です。

参考資料

和田 直子