2024年1月からスタートした「新NISA」ですが、金融庁が2024年2月9日に公表した調査結果によると、2023年12月末時点でのNISA(一般・つみたて)の買付額は約35兆円に達しています。

元銀行員の筆者ですが、新NISAを含む資産運用への関心が以前よりも高まってきていると感じます。

ただし、投資初心者にとって、膨大な数のファンドからどのファンドに投資すべきかは悩ましいポイントです。実際に「調べもせずに適当なファンドを買ったら思わぬ損失が出て後悔した」という声を聞くことも少なくありません。

そこで本記事では、新NISAの資産運用で「後悔しない」ファンド選びのポイントを紹介していきます。

1. 新NISA「つみたて投資枠」の投資対象ファンドを解説

新NISA「つみたて投資枠」を利用して積立投資を行うには、金融庁が厳選した投資信託の中からファンドを選択しなければいけません。

つみたて投資枠の投資対象の要件とファンドの種類・本数は次の通りです。

1.1 新NISA「つみたて投資枠」の対象商品の概要

新NISA「つみたて投資枠」は、国民が安定的な資産形成を行うために「長期投資に適した商品を積立投資を通じて、長期で保有することの有効性」を認識してもらうための制度です。

商品については、以下のような要件を満たすほか、金融庁へ届出されている限られた投資信託が対象となります。

  • 販売手数料はゼロ(ノーロード)
  • 信託報酬は一定水準以下に限定
  • 受益者ごとに過去1年間に負担した信託報酬等の概算値が通知されること
  • 信託契約期間が無期限または20年以上であること
  • 分配頻度が毎月でないこと
  • ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと

1.2 新NISA「つみたて投資枠」の投資対象ファンドは全部で何本ある?

2024年2月29日現在、つみたて投資枠の投資対象ファンドは全部で282本あります。そのうち227本を「指定インデックス投資信託」が占めています。

新NISA「つみたて投資枠」投資対象ファンド数

新NISA「つみたて投資枠」投資対象ファンド数

出所:金融庁「つみたてNISA対象商品届出一覧(対象資産別)2024年2月29日現在」をもとにLIMO編集部作成

  • 指定インデックス投資信託:227本
  • 指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投資信託等):47本
  • 上場株式投資信託(ETF):8本

投資対象ファンドの8割以上が「指定インデックス投資信託」となっているのがわかります。

2. 【ファンドの特徴比較】インデックス・アクティブ・ETFの違いとは

新NISA「つみたて投資枠」の投資対象商品は「指定インデックス投資信託・アクティブ運用投資信託等(指定インデックス投資信託以外)・ETF(上場株式投資信託)」の3つのタイプに分けられますが、それぞれの違いとは一体何なのでしょうか。

ここからは、インデックス・アクティブ・ETFの特徴について紹介していきます。

インデックス・アクティブ・ETFの違い

インデックス・アクティブ・ETFの違い

出所:金融庁「つみたてNISAについて」をもとにLIMO編集部作成

2.1 指定インデックス投資信託

つみたて投資枠の投資対象商品の約81%を占める「指定インデックス投資信託」は、特定の指標(ベンチマーク)に連動する投資信託です。

たとえば、日本株式の場合、TOPIXや日経平均株価などが使われます。これらの投資信託は、その指標に連動する投資成果を目指します。

つまり、日経平均株価をベンチマークとする場合、代表的な225銘柄に分散投資され、日経平均株価に連動した成果を期待できるというわけです。

<主要な指標>

  • 日本株式:TOPIXや日経平均
  • 米国株式:NYダウ
  • 世界株式:MSCI指数 など

2.2 アクティブ運用投資信託

「アクティブ運用投資信託」とは、ベンチマークを上回る投資成績を目指す商品です。

これらの投資信託は、インデックス投資信託よりも積極的な運用が行われるため、期待されるリターンとリスクが高くなります。そのため、リスクを取ってでも収益を最大化したい投資家に向いています。

2.3 ETF(上場株式投資信託)

ETF(上場投資信託)は、ベンチマークに連動した運用成績を目指す投資信託ですが、唯一の違いは「上場」している点です。

つまり、証券取引所で取引されているため、株式と同じように市場価格で売買が行われます。

このような違いにより、安定性を求める方にはインデックス投資信託が適しています。