厚生労働省が2024年1月29日に発表した内容によると、2024年度から支給される厚生年金は、標準的な夫婦の合計額で23万483円となります。
一方、基礎年金は満額で6万8000円となりました。
ただし、発表された厚生年金の支給額はあくまでも標準モデルです。
年齢やそれまでの標準報酬月額によって、実際の支給額は異なります。
では、年代別でみると、年金額はいくらになるのでしょうか。今回は、年金の支給平均額を年齢別に解説します。
1. 年齢別の年金支給額
2023年12月に厚生労働省が発表した「厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、年代別に厚生年金と基礎年金の受給額を確認しましょう。
1.1 厚生年金の受給額
年代別にみた厚生年金の受給額を、60歳から5歳ごとに確認しましょう。
- 60歳:9万4853円
- 65歳:14万3504円
- 70歳:14万1350円
- 75歳:14万4523円
- 80歳:15万1109円
- 85歳:15万9289円
- 90歳以上:15万8753円
※国民年金の金額を含む
60歳から64歳までは、年金の受給時期を繰り上げているため、65歳以降の支給額と比べて少ない結果となりました。
最も年金受給額が高い年代は、87歳の16万732円です。
65歳から79歳までの支給額は、14万円台でした。
80歳以降の受給額が15万円台から16万円台で推移しています。
1.2 基礎年金の受給額
年代別にみた基礎年金の受給額を、60歳から5歳ごとに確認しましょう。
- 60歳:4万2616円
- 65歳:5万8070円
- 70歳:5万7320円
- 75歳:5万6659円
- 80歳:5万5413円
- 85歳:5万6609円
- 90歳以上:5万1974円
厚生年金と同じく、60歳から64歳は、年金の受給時期を繰り上げているため、65歳以降の支給額と比べて少なくなりました。
最も年金受給額が高い年代は、65歳の5万8070円です。
65歳以降の受給額は、すべての年代で5万円台で推移しています。
基礎年金は、年度ごとの物価変動や賃金の変動率によって、毎年受給額を改定しています。
実際に、2023年度から2024年度にかけて、年金額は2.7%引き上げられました。
ただし、引き上げ率は賃金の伸びに比べて0.4%低く抑えられたので、実質的に目減りしています。
なぜ年金額が実質的に目減りしているのか、年金の仕組みについて確認しましょう。
2. 年金は実質的に目減りしている?
年金額が改定しても、賃金の伸びに追いつかないのは、マクロ経済スライドが関係しています。
年金受給額は、以下の項目から毎年4月に改定を行います。
- 物価・賃金変動率
- マクロ経済スライド調整率
マクロ経済スライドは、年金給付と保険料収入のバランスが保てなくなり、現役世代の負担が重くならないように、給付水準を調整します。
年金額を決める場合、現行制度では67歳以下(新規裁定者)と68歳以上(既裁定者)で、計算方法が違います。
- 67歳以下の改定率:前年度改定率×名目手取り賃金変動率×マクロ経済スライド調整率
- 68歳以上の改定率:前年度改定率×物価変動率×マクロ経済スライド調整率
このように、物価と賃金の変動状況によって、年金受給額は調整されます。