3. 世帯年収が500万円に到達するのは何歳か
「片働き」か「共働き」かで世帯年収は大きく異なります。民間給与実態統計調査を基に、年齢階層別の平均年収(男女別)を見てみましょう。
上の図表を見ると、男性の平均年収が500万円に達するのは35~39歳代です。したがって、男性のみが働く「片働き世帯」を想定するならば、30歳代後半以降が1つの目安と言えるのではないでしょうか。
しかし、昨今は共働きを選択する家庭が増えています。
上の図表を見ると、1980年から2020年までの40年間で、共働き世帯数が倍増していることがわかります。
雇用形態にもよりますが、共働き世帯なら20歳代でも年収500万円以上に到達するケースも多いのではないでしょうか。
4. 20歳代の2割以上が「結婚したいと思っていない」
調査結果を見ると、「年収がどんなに多くても、したいと思えない」と回答した人の割合は21.8%に上り、前回調査から4.1%増加していることがわかります。
内閣府男女共同参画局「令和4年版 男女共同参画白書」によると、20~39歳の独身男女が積極的に結婚したいと思わない主な理由として、以下の点を挙げています。
4.1 男性が「積極的に結婚したいと思わない」理由
- 結婚に縛られたくない、自由でいたいから:37.0%
- 結婚するほど好きな人に巡り合っていないから:36.2%
- 結婚生活を送る経済力がない・仕事が不安定だから:36.0%
- 今のままの⽣活を続けた⽅が安⼼だから:31.7%
- 結婚という形式に拘る必要性を感じないから:28.6%
4.2 女性が「積極的に結婚したいと思わない」理由
- 結婚に縛られたくない、自由でいたいから:48.9%
- 結婚するほど好きな人に巡り合っていないから:48.8%
- 結婚という形式に拘る必要性を感じないから:41.0%
- 結婚相⼿として条件をクリアできる⼈に巡り合えそうにないから:38.7%
- 仕事・家事・育児・介護を背負うことになるから:38.6%
男女共に、「結婚に縛られたくない、自由でいたいから」「結婚するほど好きな人に巡り合っていないから」という理由が最も多くなっています。
また、「結婚という形式に拘る必要性を感じない」という意見もあるようです。
世帯年収にかかわらず、20歳代ではそもそも結婚すること自体に必要性を感じていないか、結婚したくても理想の相手と出会えないという人が多いものとうかがえます。
5. まとめにかえて
今回解説したように、経済的な不安や価値観の多様化、ライフスタイルの変化などにより、非婚化・晩婚化が進んでいます。結婚への考え方、価値観は人それぞれであり、生涯未婚という選択をする方も少なくありません。
しかし、今や「少子高齢化」が大きな社会問題となっています。少子高齢化は経済成長の低迷や社会保険料の値上げなど、様々な問題を引き起こすことから、早急な改善が求められているのです。
働き方改革、子育て世帯への支援強化といった国や企業などの取り組みに加え、私たち1人1人が問題を認識し、行動することが求められているのではないでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」
- SMBCコンシューマーファイナンス株式会社「20代の金銭感覚についての意識調査2024」
- 国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」
- 厚生労働省「共働き等世帯数の年次推移」
- 内閣府男女共同参画局「令和4年版 男女共同参画白書」
加藤 聖人