3. 老後資金を準備するおすすめの方法
老後資金を準備する方法には、貯蓄や個人年金保険などさまざまなものがあります。その中でも、税制上のメリットがあり資産を増やせる可能性がある方法を2つ紹介します。
ただしいずれも投資商品なので、特徴やメリット、デメリットを十分に理解したうえで取り組むことが大切です。
3.1 iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)
iDeCoは、毎月掛け金を拠出し、自分で選んだ金融商品を自ら運用することで、老後に掛け金と運用益を受け取る私的年金のひとつです。基本的に20歳以上65歳未満のすべての方が加入でき(一定の条件あり)、拠出は65歳まで可能、60歳から受給開始できます。
iDeCoには3つの税制上のメリットがあります。
- 掛け金拠出時に所得控除が使える
- 運用益が非課税になる
- 受給する際に公的年金控除または退職所得控除が適用できる
節税しつつ老後資金を準備したい方に向いています。
ただし、60歳までは原則として引き出せないことや、加入期間によって受給開始年齢が異なる点に注意しましょう。
3.2 NISA (ニーサ:少額投資非課税制度)
NISAは個人の資産運用をサポートする制度で、一定の金額以内で購入した金融商品(株式や投資信託など)から得た利益が非課税になる制度です。
通常、株式や投資信託などから得られた利益には20.315%の税金がかかりますが、NISAでは非課税になります。
2024年1月から「新しいNISA」が導入され、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になりました。
また、年間投資枠が拡大されたり、非課税保有期間が無期限化されたりするなど、従来よりも魅力的な内容になっています。
4. まとめにかえて
老後2000万円問題は、あくまでもモデルケースの話であり、すべての世帯に当てはまるものではありません。
しかし、平均的な年金受給額を考えると、国民年金や厚生年金だけで老後の生活費をカバーすることは難しいです。
ゆとりある老後生活を送るために、また、まとまった資金が必要になったときに対応できるように、早期から老後資金の準備をすすめておくことをおすすめします。
参考資料
- 金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回)議事次第 資料2「厚生労働省提出資料」
- 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 総務省「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」
- 生命保険文化センター「リスクに備えるための生活設計」
- iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】
- 金融庁「新しいNISA」
木内 菜穂子