3. 特例的な繰下げみなし増額制度の対象者

特例的な繰下げみなし増額制度の対象となるのは、次のいずれかの要件を満たす方です。

  1. 昭和27年4月2日以降生まれの方(令和5年3月31日時点で71歳未満の方)
  2. 老齢基礎・老齢厚生年金の受給権を取得した日が平成29年4月1日以降の方(令和5年3月31日時点で老齢基礎・老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して6年を経過していない方)

※80歳以降に請求する場合や、請求の5年前の日以前から障害年金や遺族年金を受け取る権利がある場合は、特例的な繰下げみなし増額制度は適用されません。

※過去分の年金を一括して受給することにより、過去にさかのぼって医療保険・介護保険の自己負担や保険料、税金等に影響のある場合があります。

特に注意したいのは、税金や社会保険料に影響が出るかもしれない点です。

年金の金額に応じてこれらの金額が決まるため、遡って適用されれば追加で支払うお金が生まれる可能性もあります。

制度を利用した場合の見込額等については、年金事務所等で個別に相談することも可能です。

4. 2023年4月から老齢年金の繰下げ制度の一部改正が施行

2023年4月1日、老齢年金の繰下げ制度の一部改正が施行されることにより、特例的な繰下げみなし増額制度が開始されます。

これにより、遡って本来の年金を受け取るときには請求の5年前の日に繰下げ申出したものとみなし、増額された年金の5年間分を一括して受け取ることができるようになります。

ただし、手続き時点から5年以上前の年金は時効により受け取ることができない点には注意しましょう。

年金生活に向け、年金の受け取り方も重要となります。あらゆる方法を知っておきましょう。

参考資料

太田 彩子