2. 消費支出は3年ぶりの-2.6%

総務省が集計する「家計調査報告(二人以上の世帯)-2023年(令和5年)12月分、10~12月期平均及び2023年平均-」によると、2023年の勤労者・二人以上世帯の消費支出は実質ベースで平均-2.6%となっており、2020年以来3年ぶりに減少しました。

ここでいう「実質」とは、物価上昇を加味したうえでの支出額を意味します。

物価上昇を無視した単純な金額の増減では「+1.1%」となっています。

金額ベースでは消費が増えたものの、物価上昇の影響の方が大きかったため、実質ベースでは消費を手控える動きにつながったと考えることができるでしょう。

もうひとつ着目すべきは、同時に発表された実収入の統計値です。

実収入とは税金などが引かれる前の収入額なので、一般で言うところの額面年収に近いといえます。

上図は2023年平均の数値で、二人以上世帯では1世帯の月あたり収入が60万8182円で、前年比で実質-5.1%、名目-1.5%減少しています。

名目でも減少しているため、単なる物価上昇の影響だけでなく、金額ベースでの収入も前年比減少していることを意味します。

3. 物価上昇で注目が集まる賃金や年金額

統計をふまえると、大企業では積極的に賃上げを進めているにも関わらず、家計の収入は平均で見ると減少していることを意味します。

物価上昇が進むなかで、年金受給世帯は実質ベースで、勤労者は金額ベースでも収入が減少傾向にあるため、今後も支出を抑える動きが継続する可能性があります。

参考資料

太田 彩子