だんだんと春らしい陽気になってきています。まだまだ寒さはあると思いますが、早く暖かくなってくれればと望む方は多いでしょう。

光熱費等がかさむ季節は出費が気になります。一人暮らしのシニアであれば、なおさらではないでしょうか。

今回は、ひとりの老後の生活を考えたいと思います。

東京都渋谷区に単身で住んでいるAさん(65歳)は、月額15万円の厚生年金(国民年金を含む)を受給する予定です。

転職を繰り返したこともあり、同僚の方と比べても年金は少ないようです。実際、年金収入15万円というのは、日本において多い方なのでしょうか。

1. みんなの年金額はいくらなのか

「厚生年金」実際、みんなはいくら受給している?

厚生年金月額ごとの人数

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」よりLIMO編集部作成

2022年度末時点の平均年金月額は男女全体で14万3973円ですが、男性は16万3875円、女性は10万4878円となっています。

中央値で見ると全体では14万円〜15万円、男性では16万円〜17万円、女性では10万円〜11万円と、全体でも平均と同じ水準です。

Aさんの年金は、男性の中央値よりやや少ない状況といえるでしょう。

現役世代の方が見れば、中央値より月額1万円くらいの減であれがなんとかなるのではないかと思うかもしれませんが、シニアにとって「月額1万円少ない」のはかなり大きいものです。

学生時代に奨学金を借りていた方はわかるかもしれませんが、借りるときの1万円は少なく感じるのですが、返済するときの1万円は大変だと思うものです。

同じ金額であっても、その状況によって印象が大きく変わるといえます。

これからの収入が年金だけになる場合、収入を増やせない以上は支出を減らすしかありません。

2. 年金の実際の手取り額はいくら?

年金からは税金や保険料が天引きされてから振り込まれるので、実際の手取り額はもう少し減ります。シミュレーションしてみましょう。

  • Aさんの年金:月額15万円、年間では180万円
  • Aさんの社会保険料(渋谷区の令和5年の計算式で計算):健康保険料+介護保険料の合計で月額約1万円
  • 所得税と住民税は月割で約3500円
  • 手取り額の月額は約13万6500円

15万円あると思っていたものが、実際の手取りが13万台になるというのは、思った以上に少なく感じるかもしれません。