3. 年金収入で生活できるのか
総務省統計局の家計調査では、単身男性の方の消費支出は、60歳以上で15万5216円、65歳以上で15万1182円となっています。
全国の平均的な数字なので、地域によっても異なりますが、Aさんの手取り収入で考えると、約1万4000円不足します。
不足する分は貯蓄を取り崩すこととなるでしょう。
それまでにしっかりと貯めておくことが大事になります。
他にも、持ち家か賃貸かも重要です。基本的に持ち家がある場合、固定資産税などの税金はかかりますが、家賃がかかりません。
この世代の持ち家率は60歳以上で84.5%、65歳以上で86.3%と高い傾向にありますが、賃貸の方は家賃負担が大きいのも事実です。
なお、持ち家があったとしても、建て替え、リフォームや修繕にも費用がかかりますし、マンション住まいの方であったとしても経過年数が長い場合、マンションの修繕積立金が上昇すること、場合によっては建て替えなどで費用がかかることもあります。
4. まとめにかえて
統計上の数字も大事ですが、他の人と比べるよりも、自分自身がどのようにして生活していくかが大事なことです。
これから年金をもらう方も、年金の金額を確認して生活を変えることも必要でしょう。
しっかりと家計簿をつけている方もいますが、毎月の支出の管理が出来ていない方も結構多いものです。
今は決済方法も、現金、口座引き落とし、クレジットカード、QR決済など多岐に渡るため、しっかりとした管理が必要です。
年金額が少ないのであれば、または少ないことがわかっているならば、対策はあります。
収入が少なければ、無理をしない程度に支出を減らすことが一番です。
今からでも年齢に関係なく、貯蓄をすることができれば、早く準備することで対策もしやすくなります。
これから年金を受給する方も、場合によっては働き続ける方もいるでしょう。
本当に年金以外の貯蓄のない方もいらっしゃいますが、万一の病気やけが、介護の状況になった時のために今からでも資金を準備しましょう。
若い世代の方も現在の生活も大事ですが、老後のこともしっかりと考えておく必要があります。
今からでも、将来のために収支のチェックをし、将来の資金もしっかり準備しておきましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査 2023年(令和5年)平均」
- 渋谷区「保険料の計算」
- 渋谷区「介護保険料」
- 渋谷区「令和5年度 特別区民税・都民税(住民税)算出方法」
香月 和政