2023年12月22日に政府が発表した「子ども未来戦略」において、児童手当の拡充が盛り込まれました。

さらに、少子化対策の財源を確保する目的で創設した「支援金制度」が注目されています。

2月16日に「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、ようやく財源にも言及されました。

新たに拡充する児童手当の内容と、財源である支援金制度について、それぞれ解説します。

1. 児童手当の拡充案とは?

まずは児童手当の現行制度と、今年行われる拡充についてそれぞれ解説します。

1.1 児童手当の現行制度

児童手当の現行制度は、中学校卒業まで支給対象です。

児童手当における児童の年齢と一人あたりの月額

児童手当における児童の年齢と一人あたりの月額

出所:子ども家庭庁「児童手当制度のご案内」

子どもが1人の世帯では、3歳まで月額1万5000円、3歳から月額1万円が支給されます。

子どもが3人いる世帯では、第3子のみ小学生まで月額1万5000円、中学生で月額1万円になります。

ただし、児童手当には所得制限が設けられています。

所得に応じて支給額が一律5000円になる「所得制限限度額」と、児童手当が受け取れない「所得上限限度額」に分かれます。

児童手当における所得制限限度額と所得上限限度額の年収

児童手当の所得制限となる年収

出所:子ども家庭庁「児童手当制度のご案内」

では、拡充案が現行制度からどのように変わるのか確認しましょう。

1.2 児童手当の新たな拡充案

2024年10月から児童手当の新制度がスタートします。

児童手当の拡充案では、以下の項目が変わる予定です。

  • 所得制限の撤廃
  • 支給年齢を18歳まで延長
  • 第三子の支給額を倍増


まず、これまで設けられていた所得制限を撤廃します。

所得制限限度額、所得上限限度額それぞれ廃止されるので、子どもがいる世帯の支給額は同額となります。

また、中学校卒業までの支給年齢を引き上げて、18歳まで受け取れる形になりました。

さらに、第3子以降の支給額が1万5000円から3万円に増額される予定です。

児童手当が拡充されますが、制度を維持するための財源が必要になります。

財源を確保する目的で、政府は「支援金制度」を創設しました。

支援金制度の概要について確認しましょう。

2. 財源として創設した「支援金制度」とは?

支援金は、少子化対策の財源を確保する目的で、2026年4月からスタートします。

支援金はどのようにして集められるのか、また支援金の使いみちについて解説します。

2.1 支援金制度の概要

支援金は国民から拠出する制度となっており、徐々に拠出額を増やす見通しです。

  • 2026年度:6000億円
  • 2027年度:8000億円
  • 2028年度:1兆円

具体的には、74歳以下が加入する「公的医療保険」と、75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」から支援金が拠出されます。

ただし政府は「歳出改革と賃上げによって実質的な負担は生じない」と説明しています。

2.2 支援金制度の使いみち

支援金制度の使いみちは、「子ども未来戦略」で発表した少子化対策の支援に使われます。

主な支援策は、以下の3つです。

  • 児童手当の拡充
  • 大学の授業料を減免
  • 育休の手取り実質10割

大学の授業料の免除は、3人以上の子どもを扶養する世帯を対象とした支援策です。

2025年度から、国公立大学で約54万円、私立大学で約70万円を免除します。

また、両親ともに14日以上の育休を取得した場合、育休中の給付金が手取りの10割相当になるよう、給付率を引き上げる予定です。

では、支援金制度が導入されることで国民1人あたりいくら負担が必要になるのか確認します。