物価の高騰、上がらない賃金、税負担の増加など、将来への不安は増す一方です。さらには、「年金の受給額が減るかもしれない」「そもそも受給自体ができなくなるのでは?」と、若い世代を中心に年金制度への不安が高まっています。

そのような状況を受けて、貯蓄や投資などにより老後資金の準備を始める人が増えていますが、依然として準備を始めていない人も多いのが現状です。

今回は、Job総研の「2024年老後資金の意識調査(2024年1月29日公表)」を基に、老後資金を「貯めていない派」の割合や、「投資・資産運用の有無」などを確認してみましょう。

1. 老後資金を「貯めていない派」は48.0%

回答者全体の内、「老後資金に不安がある」と答えた方の割合は82.3%に上ります。不安の理由として最も多いのは「年金の受給有無」であり、次いで「物価高騰による生活費の増加」、「健康保険や医療費の増額」と並びます。

年金不信や昨今の物価高などを理由に老後への不安を感じている方が多いですが、その一方で「老後資金を貯め始めていない」と答えた方の割合は48.0%に上っています。

老後資金に不安を感じる一方で、準備を始められずにいる方が約半数を占めているのが現状です。

物価高による生活費の増加や収入減少などにより、そもそも貯蓄に回す資金を捻出できない家庭が多いものと思われます。

また、資産運用の重要性を理解していても、やり方がわからない、何から手を付ければよいかわからないといったマネーリテラシーの低さも1つの要因として挙げられるでしょう。

2. 「不安がなくなる老後資金の額」中央値は2500万円

回答者全体に「不安がなくなる老後資金の額」を聞いたところ、平均値は4040万円、中央値は2500万円となったそうです。

また、「老後資金を蓄え始める歳」の平均値は33歳、中央値は30歳とのこと。若い世代を中心に貯蓄への意識が高まっていることが伺えます。

しかし、仮に30歳から銀行預金で貯蓄を開始し、65歳までに2500万円を貯めるには、毎月約6万円ずつ積み立てる必要があります。

家計に余裕がある家庭であれば無理なく積み立てられるかもしれませんが、毎月6万円を捻出するのは簡単なことではありません。

3. NISAを利用する人が増加

貯蓄の重要性が高まっていますが、日本は依然として低金利下にあり、銀行預金ではまとまった利息を受け取れません。

そこで注目を浴びているのがNISAを活用した積立投資です。投資なら運用益を得られる可能性があるため、銀行預金に比べて効率良く目標金額に到達できる可能性があります。

調査結果を見ると、「投資または資産運用をしている」と答えた方の割合は75.1%であり、その内「NISA」を活用している方の割合は65.1%となっています。

2024年から「新NISA」が始まったこともあり、今後も老後資金の準備にNISAを利用する方が増えるかもしれません。

4. 老後資金準備の重要性

総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯および単身無職世帯の家計収支は以下のようになっています。

65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、実収入が24万6237円、総支出が26万8508円であり、2万2270円の赤字となっています。

また、65歳以上の単身無職世帯では、実収入が13万4915円、総支出が15万5495円であり、2万580円の赤字であることがわかります。

あくまでも平均値ではありますが、約2万円の赤字分は自らの資産から補填する必要があるので、貯蓄ゼロで老後を迎えるのは心もとありません。

さらに、毎月の決まった出費以外にも、子どもの結婚や孫の誕生、自宅のリフォーム、医療費の負担増加など、ライフイベントに応じて大きな出費が必要になる可能性があります。

最悪の場合、老後破産に陥るケースも考えられるため、早めに準備を始めておくことが重要となるのです。

5. 「生活設計」について考えよう

まずは、自分の人生をどのように過ごしたいか、自分らしく過ごすにはどうしたらよいか、ライフデザインを描いてみましょう。老後の人生までイメージすることで、それに合った貯蓄計画や投資計画を立てることができます。

ゆとりある老後を理想としてイメージするのであれば、それに向けて必要な準備を始めていきましょう。

参考資料

加藤 聖人