2. 高卒と大卒、かかる学費はいくら?
次は、高校と大学にかかる学費を日本政策金融公庫「2021(令和3)年度 教育費負担の実態調査」で確認してみましょう。
2.1 入学費用
資料によれば、子ども1人あたりの入学費用は、高校が35万円、大学が81万1000円となっていますが、大学の場合、私立大学と国公立大学のどちらに進学するかでも異なります。
私立大学の場合、理系の入学費が88万8000円、文系が81万8000円です。
また、国公立大学の場合の入学費は67万2000円となっています。
2.2 在学費用
次は、子ども1人あたりの1年間の在学費用をみていきましょう。
在学費用には、学校教育費(授業料、通学費、教科書代など)の他に、家庭教育費(塾の月謝、おけいこごとの費用など)が含まれます。
高校の在学費用は75万6000円に対して、大学は149万9000円となっています。
また、在学費用については、私立大学と国公立大学、理系・文系でも大きく異なります。
私立大学の場合は、理系の在学費用が183万2000円、文系が152万円です。
一方、国公立大学の場合の在学費用は103万5000円となります。
2.3 大卒は高卒よりも学費はどのくらい多くなる?
以上より、高校卒、国公立大学、私立大学理系・文系に進んだ場合にかかる費用をまとめます。
【高校卒】
高校卒の3年間の学費の合計を試算すると以下のとおりです。
- 入学費:35万円
- 在学費用:75万6000円×3年間=226万8000円
- 合計額:261万8000円
【国公立大学卒】
国公立大学卒の4年間の学費の合計を試算すると以下のとおりです。
- 入学費:67万2000円
- 在学費用:103万5000円×4年間=414万円
- 合計額:481万2000円
【私立大学卒】
私立大学卒の4年間の学費の合計を理系・文系で試算すると以下のとおりです。
- 理系入学費:88万8000円
- 理系在学費用:183万2000円×4年間=732万8000円
- 理系合計額:821万6000円
- 文系入学費:81万8000円
- 文系在学費用:152万円×4年間=608万円
- 文系合計額:689万8000円
大卒者は、高卒者よりも学費等が国立大学で約500万円、私立大学では、約700~830万円かかります。
今回は含まれていませんが、自宅以外から大学に通うことになれば、生活費を仕送りしてもらうことになり、さらに多くの費用がかかるでしょう。
3. 生涯賃金と学歴の関係
今回は、「大卒と高卒の初任給・生涯賃金の比較」「大卒と高卒の学費の比較」をしました。
冒頭でお伝えしましたが、やはり、高卒で働くよりも大卒で働く方が、初任給、生涯賃金が高い傾向にあり、学歴の年収差は大きいといえそうです。
参考資料
- 東京都労働局「2023(令和5)年新規学校卒業者の求人初任給調査結果」
- 独立行政法人労働政策研究・研究機構「ユースフル労働統計2023 労働統計解析加工指標集」
- 日本政策金融公庫「2021(令和3)年度 教育費負担の実態調査」
舟本 美子