受験シーズン真っ只中。お子さんの進路に悩む家庭も多いでしょう。
一般的に、高卒で働くよりも大卒で働く方が初任給が高く、生涯賃金も高い傾向にあります。
そのため「大学を卒業しておいた方がいいのでは?」と思う方は多いかもしれません。
今回は、各種指標をもとに、給料や生涯年金などを比較します。
高卒と大卒で「どのくらい学費に払うお金と受取るお金が違うのか」を知っておけば、今後、進路を決める際に参考になるでしょう。
1. 大卒・高卒の初任給を比較
東京都労働局が公表している「2023(令和5)年新規学校卒業者の求人初任給調査結果」で、大卒と高卒の初任給を確認してみましょう。
1.1 大卒・高卒の初任給
- 大卒:21万2500円
- 高卒:18万3300円
大卒と高卒の初任給をみると、金額にして毎月3万円ほどの差があり、年間にすれば大卒の方が36万円多くなります。
しかし、高卒であれば、大卒よりも4年早く働きはじめることになります。
「もしかしたら、毎月3万円の差は、4年間多く働くことで均されるのでは?」と思ってしまうほどの差ですが、生涯賃金で見るとどうなのでしょうか。
次は、独立行政法人労働政策研究・研究機構「ユースフル労働統計2023 労働統計解析加工指標集」から生涯賃金について確認しましょう。
この資料の中での「生涯賃金」とは、ひとりの労働者が生涯にわたって得る賃金の総額です。
過去に受け取った賃金の総額を調べる統計調査があるわけではないので、既存の統計から男女別に推計されています。
1.2 正社員として新卒から定年60歳まで正社員で働いた場合(転職あり)
こちらの働き方は正社員ですが「転職あり」のケースとなります。(退職金含めず)
【男性】
- 大卒:2億4740万円
- 高卒:2億300万円
【女性】
- 大卒:1億9800万円
- 高卒:1億4920万円
新卒から定年である60歳まで同じ会社で働かず転職を行った場合、大卒と高卒の生涯賃金の差は男性4440万円ですが、女性は4880万円となります。
1.3 正社員として新卒から定年60歳まで正社員で働いた場合(転職なし)
こちらの働き方は、同じ企業に正社員として継続して働くケースです。(退職金含めず)
【男性】
- 大卒:2億7330万円
- 高卒:2億4010万円
【女性】
- 大卒:2億2780万円
- 高卒:1億7900万円
新卒から定年である60歳まで転職しない場合、大卒と高卒の生涯賃金の差は男性3320万円に対して、女性は4880万円となります。
男性、女性いずれの場合も、高卒よりも大卒が、生涯受け取る賃金が高くなることがわかります。
さらに、転職ありと転職なしを比べたところ、学歴・性別関係なく、新卒から定年するまで同じ企業で働いた方が、生涯にわたって受け取る賃金が高いことがわかります。