今国会で成立が見込まれているカジノ法案(統合型リゾート(IR)実施法案)。政府と自民党・公明党は、2月14日の会合で、統合型リゾートに設置されるカジノの日本人の入場回数上限を、週3回、月10回程度に制限する方向で法案を調整することとしました。
これは日本人および日本在住の外国人のギャンブル依存を抑制するのが目的ですが、法案への反対意見も見られます。現状で一体どんな問題があるのでしょう?
そもそも、なぜカジノ?
そもそも、なぜ日本にカジノを設置しようとする動きがあるのでしょうか。最も大きな理由として挙げられるのが、インバウンド(外国人観光客)の増加による経済の活性化です。
近年、シンガポールやマカオなどで、カジノを含む統合型リゾートを設置した都市が世界的に有名な観光拠点となっています。これらの例を受け、人口減少が進む日本で外国人観光客からの経済効果を得るため、政府・与党は1年と少し前の2016年12月に「統合型リゾート整備推進法」を成立させ、実現へと動き始めました。
ただ、この「整備推進法」はあくまで統合型リゾートの整備の大枠を決める法律で、カジノを含めた実施・運用の具体的な取り決めをするのが、いま議論されている「統合型リゾート実施法案」という位置づけです。
ギャンブル依存の恐れも
カジノの設置には、確かに経済的に大きなメリットがありそうです。しかし、ここで懸念されるのが、「ギャンブルへの依存」です。
厚生労働省の調査によると、20~74歳の約320万人(3.6%)がギャンブル依存症を疑われる状態になっており、この数値は諸外国と比べても高いとのこと。そんな日本でカジノが普及すると、よりギャンブル依存者が増えてしまうという懸念があります。
依存を防ぐには不完全?
この懸念を受けての「カジノ週3回法案」ですが、このままでは、ギャンブル依存の抑制にはつながらないという意見もあります。
たとえば、入場回数を週3回にしたとしても、1回あたりの滞在時間が多ければ、ギャンブルに依存していると言えるのではないでしょうか。また、極端ですが1回入場してから数日間居続けることも可能になってしまいます。加えて、「そもそも週3回でも多いのでは?」という意見もあります。
このように、ギャンブル依存の抑制を目的とした法案としては、まだまだ不完全な部分があるようです。
問題はカジノだけじゃない
そもそも、ギャンブルの依存に最も「貢献」しているのは、パチンコやパチスロではないかという意見もあります。
閉店するまではいつまでも居続けることができ、利用回数も無制限です。しかも、これが日本全国どこにでもあるとなれば、依存してしまっても仕方がないように思えます。パチンコ・パチスロ店がここまで乱立している国は日本だけだとも言われます。
何が正解か?
このように、「カジノ週3回法案」や、ギャンブル依存対策には、まだまだ改善の余地がありそうですね。一方で、特にカジノはこれから経済的に大きな効果を生み出す可能性があるのも事実です。
この問題、あなたはどうお考えですか?
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