就職氷河期といわれる世代の方は、大学を出ても正職員として就職することが難しく、希望する職種に就けない方が多かったといわれています。

十分な年収が得られないうえに年収アップも難しく、老後資金の準備が思うように進まない方が多いと考えられます。

そのような状況にあっても、貯蓄に力をそそぎ3000万円を貯めている方もいます。年収アップなどが望めなかったからこそ、早くから貯蓄に取り組んだのかもしれませんね。

では、50歳代で貯蓄が3000万円以上ある方はどのくらいいるのでしょうか。また、3000万円あれば老後は安泰なのかどうかについて解説していきます。

1. 50歳代で3000万円以上貯蓄があるのは約1割

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」によると、50歳代で3000万円以上の貯蓄があるのは、二人以上世帯では10.8%、単身世帯では9.6%となっています。

二人以上世帯・単身世帯ともに約1割となっており、貯蓄が3000万円以上あるのはごく一部の限られた方のみであることがわかります。

平均貯蓄額を見ると、二人以上世帯では1253万円で単身世帯では1048万円です。

なお、平均貯蓄額は、貯蓄額の大きい世帯が数値を押し上げていることがあるため、実態に近い平均額は中央値で見るのが適しているとされています。

したがって、中央値は二人以上世帯では350万円、単身世帯では53万円なので、これくらいの金額が実際の平均貯蓄額といえるでしょう。

2. 老後の生活費は毎月約2万円が赤字

老後の生活費は、厚生年金や国民年金といった公的年金が主な収入となる世帯がほとんどです。では、公的年金だけで生活費をカバーしきれているのでしょうか。

総務省の「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、65歳以上二人世帯では毎月2万2270円、単身世帯では毎月2万580円の赤字が生じています。

毎月2万円の赤字が発生すると1年間では24万円となり、20年間では480万円、25年間では600万円が不足する計算です。そのため、少なくとも600万円は生活費の補填として貯蓄が必要といえます。

貯蓄が3000万円以上ある方にとっては、600万円を生活費に回しても余裕があるため、老後は安泰だと思えるかもしれません。

しかし、これはあくまでも毎月の生活費の話であり、まとまった出費が必要になる場合は3000万円の貯蓄があっても安泰とはいえない可能性があります。