厚生労働省の発表した「国民生活基礎調査」によると、2022年の一世帯あたりの平均所得金額は「545万7000円」で、中央値は「423万円」となりました。
平均値は極端に所得額が多い人がいる場合に偏る傾向にある一方、中央値は対象となるデータを小さい順に並べ、中央にある値を指しており、実態に近い所得額と言えます。
上記のことから、「年収400万円台」は標準的な家庭であると言えます※。では、「年収400万円台の世帯」はどのくらい貯蓄をしているのでしょうか。
本記事では、年収400万円世帯の平均貯蓄額について詳しく解説していきます。年収400万円台の平均的な負債額や家庭状況なども解説しているので、参考にしてください。
※同調査において、雇用者所得は「世帯員が勤め先から支払いを受けた給料・賃金・賞与の合計金額をいい、税金や社
会保険料を含む。」と定義されています。
1. 年収400万円台世帯の「貯蓄額」は平均でどのくらい?
厚生労働省「2022年国民生活基礎調査の概況」では、年収400~500万円の家庭は10.3%となっています。
1.1 「年収400万円~450万円世帯」の貯蓄額
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)」によると「年収400万円〜450万円の勤労者世帯」の平均貯蓄額は「850万円」でした。また、貯蓄の内訳の平均は下記の通りです。
- 通貨性預貯金:363万円
- 定期性預貯金:216万円
- 生命保険など:190万円
- 有価証券:71万円
- 金融機関外:9万円
平均貯蓄額「850万円」と聞くと、なかには「うちは他と比べて貯蓄ができていないのかも」と思う人もいるかもしれません。
しかし、これは純粋な貯蓄額ではない点に注意が必要です。住宅ローンなどの負債を抱える世帯も多いでしょう。
純粋な貯蓄額は、貯蓄額から負債額を差し引いた金額となります。そしてこの純粋な貯蓄額こそ「老後資金」や「教育費」などに充てられる貯蓄なのです。
同統計によると、年収400万円〜450万円世帯の負債額は「570万円」のため、貯蓄額から負債額を差し引くと、純資産額は下記のようになります。
平均貯蓄額だけをみると「十分に貯蓄をしている」と感じますが、負債額を考慮すると純貯蓄額は300万円に満たない結果となります。
また、負債額の内訳の9割を「家のローン」が占めていることから、貯蓄に対する住宅ローンの影響は大きいことがよくわかります。
1.2 「年収450万円~500万円世帯」の貯蓄額
次に、年収450万円〜500万円世帯の貯蓄額を見ていきましょう。
総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)」によると、年収450万円〜500万円の勤労者世帯の平均貯蓄額は「901万円」です。
貯蓄の内訳の平均は下記のようになっています。
- 通貨性預貯金:365万円
- 定期性預貯金:238万円
- 生命保険など:207万円
- 有価証券:88万円
- 金融機関外:3万円
先ほどと同様に、貯蓄額から負債額を差し引いた「純粋な貯蓄額」を確認してみましょう。
車の購入費や住宅ローンといった負債額を差し引いた結果、純貯蓄額は「200万円」程となりました。
1000万円近い平均貯蓄額に比べると、大きな違いがあります。
世帯によっては、「資産額よりも負債額が上回る」ケースも少なくないのではないでしょうか。
住宅購入の直後であれば仕方ない側面がありますが、ライフプランによっては「貯蓄」「負債」のバランスをすぐに見直すべきかもしれません。
貯蓄ペースの見直しを検討する場合は、同じような年収世帯が「手取り収入からいくら貯蓄しているか」も参考になります。次章にてくわしく確認しましょう。