3. 年金受給者はいくらの生活保護費を受けられる?
生活保護費を受ける場合は、最低生活費を求める必要があります。
最低生活費は以下の項目に基づいて算出します。
- 居住地の等級
- 生活扶助の金額
- 住宅扶助の金額
居住地の等級は6段階です。
都心部ほど等級が高く、最低生活費は高くなります。
単身世帯と夫婦世帯で、最低生活費と生活保護費を算出してみましょう。
3.1 単身世帯の最低生活費と生活保護費
単身世帯の最低生活費と生活保護費を、以下の条件で試算します。
- 1級地-1
- 65歳の単身世帯
生活扶助基準第1類は4万6460円、生活扶助基準第2類は2万7790円です。
住宅扶助基準は5万3700円だったので、合計額は12万7950円でした。
基礎年金の支給額が月6万8000円(満額支給)の場合、最低生活費から差し引いた金額が生活保護費となります。
- 保護費:12万7950円-6万8000円=5万9950円
平均受給額から差し引くと、以下の通りになります。
- 保護費:12万7950円-5万6428円=7万1522円
3.2 夫婦世帯の最低生活費と生活保護費
夫婦世帯の最低生活費と生活保護費を、以下の条件で試算します。
- 1級地-1
- 65歳の夫婦世帯
生活扶助基準第1類は4万6460円に逓減率0.87を乗じた4万420円が2人分で8万840円です。
生活扶助基準第2類は3万8060円で、住宅扶助基準は5万3700円だった場合、合計額は17万2600円でした。
基礎年金の支給額が夫婦で月13万6000円(満額支給)の場合、最低生活費から差し引いた金額が生活保護費となります。
- 保護費:17万2600円-13万6000円=3万6600円
平均受給額から差し引くと、以下の通りになります。
- 保護費:17万2600円-11万2856円=5万9744円
生活保護を申請すると、以下の項目について調査が行われ、生活保護費を支給するか審査をします。
- 家庭訪問等の実地調査
- 預貯金、保険、不動産等の資産調査
- 仕送り援助の可否
- 就労の可能性
上記の項目を審査して認可されれば、生活保護費が支給されます。
生活保護は事前の相談が必要なので、まずは地域の福祉事務所に事前相談をしてください。
4. 年金受給者でも生活保護は受けられる
公的年金しか収入がないと、居住しているエリアによっては生活保護の申請ができる場合があります。
年金受給者でも、生活保護の申請は実施できるので、国民年金にしか加入していない場合は、生活保護が受けられないか確認しておくと良いでしょう。
生活保護費としていくら受給できるかは、居住している場所や世帯の人数によっても異なるので、自治体ごとの窓口に相談してください。
参考資料
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 厚生労働省「生活保護制度の現状について」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法」
川辺 拓也