老後の生活費は厚生年金などの公的年金が柱となる方が多いため、いくらもらえるのかを把握するのは大切なことです。
年金受給額は一人ひとり異なるものなので、ほかの方がどのくらいもらっているのか気になる方もいるでしょう。
老後の生活費にいくらかかるかは世帯によりさまざまですが、「手取りで月20万円もらえるといいな」と思っている方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、厚生年金を手取りで20万円超もらっている方の割合や、受給するために必要な年収の目安について解説していきます。
1. 手取りで20万円超もらうには額面24万円が必要
厚生年金は額面金額がそのまま受け取れるわけではなく、社会保険料や税金などが控除された手取り額が口座に入金されます。
手取りで月20万円超もらうために必要な額面金額はおよそ月24万円で、年額に換算すると288万円です。ではなぜそうなるのか、以下の例で確認してみましょう。
【シミュレーション例】
- 65歳男性(独身)
- 茨城県つくば市在住
- 年金収入のみ
- 住民税は課税所得の10%とする
1.1 シミュレーション結果
1.2 根拠
- 国民健康保険料:18万3100円(年)
- 介護保険料:9万4300円
【出所】令和5年 つくば市介護保険料
- 住民税:10万7260円
288万円-{110万円(公的年金所得控除)+43万円(基礎控除)+27万7400円(社会保険料控除)}×10%=10万7260円
- 所得税:5万2204円
288万円-{110万円(公的年金所得控除)+48万円(基礎控除)+27万7400円(社会保険料控除}×5.105%(※)=102万2600円×5.105%=5万2204円
※:所得税及び復興特別所得税率
このように、厚生年金を月24万円もらっていれば手取りで20万円超になる計算です。なお、上記はあくまでもシミュレーションであり、実際には異なるため参考としてご活用ください。
2. 手取りで20万円(額面24万円)超はわずか2.48%
前章で、厚生年金を手取り月20万円超もらうには額面金額がおおよそ24万円必要なことがわかりました。
では、額面金額で24万円もらっている人はどのくらいいるのでしょうか。
厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」には厚生年金の受給額ごとの人数が掲載されています。
額面金額が月24万円以上の受給者人数を下表にまとめました。
厚生年金受給者のうち、額面金額24万円以上を受給している方は39万7435人で、全体のわずか約2.48% にとどまっています。手取りで20万円超を受け取れるのは、ごく一部の方に限られていることがわかります。
なお、男女別のデータを見ると、額面24万円以上の男性は39万230人で男性全体の約3.68%、女性は7205人で女性全体の約0.13% です。
厚生年金は現役時代の年収や厚生年金加入期間などによって受給額が決まり、一般的に年収が高く加入期間が長い男性の方が受給額が多くなります。
そのような事情もあり、女性で手取りで20万円超を受け取るのは非常に難しいのが現状です。