内閣府「第2節 高齢期の暮らしの動向」によると、老後の経済的な暮らしについて「心配なく暮らしている」と回答した65歳以上の方は68.5%にのぼりました。
この数字だけ見ると老後をあまり心配する必要はないようにも感じますが、今の現役世代は「年金だけで十分」なのかについては疑問が残ります。
実際に、厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金だけで生活している人は全体の44%にとどまっています。
2024年1月に公表された厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」によれば、2024年4月分からの年金額は2.7%の増額になる予定です。
老後生活を考える上では、年金以外のお金をどれだけ準備出来ているかが重要です。実際のところ、今の65歳以上の方々はどれくらいの年金を受給して、どのくらい支出があるのでしょうか。
そこで今回は、65歳以上の年金額や貯蓄額などを参考に、長い老後を乗り切るためのリアルなお金事情を確認していきましょう。
1. 【65歳以上・無職の夫婦世帯】貯蓄額の平均はいくら?
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」を参考に、まずは世帯主が65歳以上の貯蓄を見ていきましょう。
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、「世帯主が65歳以上の二人以上世帯」の貯蓄現在高は次のとおりです。
1.1 65歳以上の二人以上世帯の貯蓄額一覧表(平均・中央値)
- 平均:2414万円
- 貯蓄保有世帯の中央値:1677万円
- 100万円未満:7.8%
- 100~200万円未満:3.4%
- 200~300万円未満:3.2%
- 300~400万円未満:3.5%
- 400~500万円未満:3.3%
- 500~600万円未満:3.5%
- 600~700万円未満:2.8%
- 700~800万円未満:2.6%
- 800~900万円未満:3.4%
- 900~2000万円未満:2.4%
- 1000~1200万円未満:6.1%
- 1200~1400万円未満:4.4%
- 1400~1600万円未満:3.7%
- 1600~1800万円未満:4.2%
- 1800~2000万円未満:3.2%
- 2000~2500万円未満:8.3%
- 2500~3000万円未満:6.3%
- 3000~4000万円未満:10.0%
- 4000万円以上:17.9%
65歳以上の貯蓄は平均2414万円ですが、より実態に近い中央値をみると1677万円まで下がっています。
また、分布を見ると貯蓄500万円未満が約2割となっており、まとまった貯蓄があまり用意できていない世帯が5世帯に1世帯だとわかります。
では、65歳以上・無職世帯の平均貯蓄額はどうでしょうか。同資料によると65歳以上でリタイアした無職夫婦世帯の平均は2359万円でした。
ただし、先ほどみたように世帯差が大きいため、中央値はこれより下がる可能性も考えられます。