2. 2024年度の加給年金額は2.7%増額
2024年度の公的年金は、前年度から2.7%の増額となりました。
加給年金の支給額においても2.7%の増額となります。
2.1 加給年金の金額
- 配偶者:23万4800円(+6100円 前年度22万8700円)
- 1人目・2人目の子:各23万4800円(+6100円 前年度22万8700円)
- 3人目以降の子:各7万8300円(+2100円 前年度7万6200円)
上記のとおり、それぞれ2023年度から加給年金額が引き上げられています。
2.2 配偶者加給年金の特別加算
また、老齢厚生年金を受けている方の生年月日に応じて、配偶者の加給年金額に特別加算額が支給されます。
特別加算額は下記のとおり3万4700円~17万3300円と異なります。
【受給権者の生年月日】特別加算額(加給年金額の合計額)
- 【昭和9年4月2日から昭和15年4月1日】3万4700円(26万9500円)
- 【昭和15年4月2日から昭和16年4月1日】6万9300円(30万4100円)
- 【昭和16年4月2日から昭和17年4月1日】10万4000円(33万8800円)
- 【昭和17年4月2日から昭和18年4月1日】13万8600円(37万3400円)
- 【昭和18年4月2日以後】17万3300円(40万8100円)
例1)夫婦のみ世帯で受給権者の生年月日が昭和9年4月2日~昭和15年4月1日の場合
- 加給年金額:23万4800円
- 特別加算額:3万4700円
- 配偶者が受給できる加給年金額合計:26万9500円
例2)夫婦のみ世帯で受給権者の生年月日が昭和18年4月2日以後の場合
- 加給年金額:23万4800円
- 特別加算額:17万3300円
- 配偶者が受給できる加給年金額合計:40万8100円
例2に該当する場合、通常の年金額に約40万円もの年金が加算されるわけです。
年の差が大きい夫婦世帯にとっては非常にありがたい制度といえるでしょう。
3. 配偶者が65歳になれば「振替加算」の対象に
加給年金は、対象となる配偶者が65歳になれば支給停止となります。
ただし、この配偶者が老齢基礎年金を受け取る場合には、老齢基礎年金の額に加算がつきます。
これを「振替加算」といいます。
振替加算の対象者は下記の要件を満たす必要があります。
- 厚生年金保険または共済組合等の老齢(退職)年金、または障害年金(1,2級)を受け取るようになったとき。
- 退職改定または在職定時改定によって、受け取っている老齢(退職)年金の計算の基礎となる厚生年金保険と共済組合等の加入期間の合計が20年以上になったとき。
本人が65歳になった後に、配偶者が上記に該当する場合は、「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」の
提出が必要となりますのでご注意ください。
4. 老後安心できるマネープランを立てる
今回は年の差夫婦が知っておきたい年金制度について見ていきました。
年金の受給額は、ねんきん定期便やねんきんネットで確認できます。
安心で豊かな老後を過ごすためには、まず、定年後のお金の収支を「見える化」することが必須です。
配偶者がいる場合は、収入と支出について、これから先の推移を夫婦で共有しておけば、老後対策がとりやすくなります。
より正確な年金受給額が把握できたら、公的年金を収入の柱としながらも、保有する資産の運用を並行して行うことも重要です。
ぜひこの機会に、定年後のマネープランを具体的に立ててみてはいかがでしょうか。
参考資料
菅原 美優