筆者が受ける金融相談の中で、最近「自分の退職金はもらえないと思っています」と話される方が多くなってきました。
理由を聞いてみると、今勤めている会社が将来どうなっているか分からない、今の会社でずっと働き続ける気持ちはない、将来のお金は自分で準備する時代に突入してきている、等さまざまな意見があります。
一昔前ですと、終身雇用が当たり前、老後は退職金と年金で悠々自適に過ごす、といった考え方が当たり前でした。
今、この考え方が20歳代から30歳代の中で変化しているのかもしれません。
そんな中、「公務員の退職金は安定している」「公務員の退職金は余裕で2000万円を超える」という声も聞かれます。
2024年1月31日にリリースされた【若者の公務員離れに関する調査】なども参考に、公務員の魅力や退職金について考えてみたいと思います。
1. 若者の公務員離れに関する調査結果
就活サイト「ONE CAREER」を運営する株式会社ワンキャリアは、2024年卒・2025年卒の大学生・大学院生向けに、公務員に関する調査を実施しました。
結果によると、学生の36.7%が「公務員を志望したことはない」と回答したことがわかりました。
さらに、「過去に公務員を志望していたが断念した」という学生は25.0%に。主な理由は「公務員試験を受験するのが面倒だから」「公務員試験が難しいから」「給与が低いから」「労働時間が長いから」などがあがりました。
公務員試験へのハードルの高さがうかがえます。
また近年ではSNSの発達等により、現場のリアルな労働状況が伝わりやすくなっています。定時で帰れるわけではない、給料が高いわけではない、という実情が知りやすいことも要因といえそうです。
一方、公務員を志望している・志望していた理由のトップは「社会の役に立ちたいから」で65.8%。次いで「安定しているから」が57.9%になりました。
公的な立場を目指す上で、社会の役に立ちたいという思いはモチベーションになるものでしょう。
そしてやはり、安定に魅力を感じる方も多いようです。では、公務員の退職金はいくらくらいなのでしょうか。
地方公務員の給与事情は自治体によって異なるため、ここでは国家公務員の退職金を確認してみましょう。
2. 国家公務員の定年時の退職金はいくら?
内閣官房の退職金に関する調査によると、国家公務員の退職金は下記のとおりです。
2.1 退職金の一覧表
【常勤職員】
- 受給者数:1万4283人
- 平均支給額:2112万2000円
【行政職俸給表(一)適用者】
- 受給者数:4086人
- 平均支給額:2111万4000円
常勤職員、行政職俸給表(一)適用者ともに、平均支給額が2000万円を超えています。
国家公務員として定年まで勤め上げれば、退職金は2000万円を超える可能性が高いといえます。
一方、最近では就職氷河期世代を対象とする採用が積極的に行われるなど、中途採用の職員も増えています。
勤続年数によっても、退職金の平均額は異なります。