3. 国家公務員の定年退職金を勤続年数ごとに見る
国家公務員が定年退職時に退職金を受け取る際、勤続年数によってその金額は変わってきます。
内閣官房の退職金に関する調査では、勤続年数別の退職手当平均支給額は下記のようになりました。
3.1 勤続年数ごとの退職金一覧
【常勤職員】
- 5年未満:158万7000円
- 5年~9年:446万8000円
- 10年~14年:713万7000円
- 15年~19年:1159万1000円
- 20年~24年:1309万2000円
- 25年~29年:1663万2000円
- 30年~34年:1991万7000円
- 35年~39年:2303万8000円
- 40年以上:2234万7000円
【うち行政職俸給表(一)適用者】
- 5年未満: 84万8000円
- 5年~9年:451万8000円
- 10年~14年:675万7000円
- 15年~19年:1016万6000円
- 20年~24年:1352万4000円
- 25年~29年:1625万6000円
- 30年~34年: 2037万円
- 35年~39年:2189万1000円
- 40年以上:2139万1000円
勤続年数により、平均額は変わることがわかります。
また同調査では、同じ勤続年数でも「自己都合退職」よりも「定年退職」のほうが退職金が高くなっています。
4. 会社員の定年退職金は公務員より多い?
大企業や中小企業に勤める会社員の定年退職金は、公務員を上回るのでしょうか。
中央労働委員会の調査データによると、資本金5億以上かつ労働人材が1000人以上の企業のモデル退職金は、大学卒・高校卒それぞれ下記の結果となりました。
- 大学卒:2563万9000円
- 高校卒:1971万2000円
※学校を卒業後ただちに入社して標準的に昇進した者のうち、事務・技術(総合職相当)
なお、東京都産業労働局の調査データによると、企業規模が300人未満の企業の定年退職金は下記のとおりです。
4.1 【大学卒】企業規模別・定年退職金
- 企業規模10~49人の退職金:979万3000円
- 企業規模50~99人の退職金:1141万8000円
- 企業規模100~299人の退職金:1323万円
4.2 【高校卒】企業規模別・定年退職金
- 企業規模10~49人の退職金:880万3000円
- 企業規模50~99人の退職金:1065万9000円
- 企業規模100~299人の退職金:1204万5000円
※卒業後すぐ入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準
一般的に大企業のほうが、中小企業よりも1000万円ほど差があることがわかります。
ただし、企業の退職金は各企業の制度や入社時の学歴などによって格差が大きいものです。個々の事情によって異なるでしょう。
5. 退職金だけに頼らない老後
本記事では、公務員の定年退職金や、企業に勤める会社員のモデル退職金について詳しく紹介していきました。
各調査データによると、公務員や大企業の会社員として長年勤めている人は、定年退職金として2000万円以上もらえる可能性が高いといえます。
一方で中小企業の場合は、学歴や企業制度によって大幅な差は生じますが、多くの場合は公務員や大企業の会社員よりも定年退職金額が低くなる傾向にあります。
とはいえ、どの職種に勤めていたとしても将来必ず退職金がもらえるとは限りません。
実際、定年退職金の受給額は年々減少傾向にあり、企業によってはそもそも退職金を支給しないところもあります。
「老後資金はないけど退職金があるからなんとかなる」と考えている方は、退職金が想定より少なかった時や支給されなかった時のことを想定して、今一度老後資金の見直しをすると良いでしょう。
また今の時代は転職ありきでキャリアを形成する時代になっています。
終身雇用ではないため、退職金がもらえないという可能性も十分に考えられます。
定年まで猶予がある方は今年から始まった新NISA制度やiDeCoといった運用方法で資産形成を始めてみてはどうでしょうか。
参考資料
- 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」
- 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」
- 厚生労働省 中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査」
- 厚生労働省「退職給付(一時金・年金)の支給実態 」
- 株式会社ワンキャリア「【若者の公務員離れに関する調査】大学生が考える、公務員への関心度向上の決め手は「入庁後のキャリアプラン」」
杉田 有毅