年金の受給が近くなると「夫婦でいくらぐらい年金がもらえるの?」「年金額は増えている?減っている?」と疑問に感じる人もいるでしょう。
厚生労働省では、毎年4月の年金額の改定に合わせて「標準的な夫婦の年金」についてモデル年金額を公表しています。
本記事では、厚生労働省の資料を基に標準的な夫婦の年金について解説します。
将来の年金支給水準についても解説しますので、老後計画を立てるときの参考にしてください。
1. 標準的な夫婦の年金額
まず最初に、標準的な夫婦の年金について直近の現状と年金額の推移について解説します。
1.1 標準的な夫婦の年金は月額23万円
厚生労働省の「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」によると、2024年度のモデル年金額は夫婦2人世帯で23万483円です。
モデル年金額は、夫婦の一方が平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業して老齢厚生年金を受給し、配偶者が国民年金に40年間加入して老齢基礎年金を受給することを前提として計算しています。
1.2 モデル年金額は2年連続で増加
直近のモデル年金額の推移を見ると年度によって増減がありますが、2023年度(2.2%)、2024年度(2.7%増)は比較的大幅に増加しています。
- 2020年度:22万0724円
- 2021年度:22万0496円
- 2022年度:21万9593円
- 2023年度:22万4482円
- 2024年度:23万0483円
1.3 物価上昇率を考えると実質的には減額
2024年度のモデル年金額は2.7%増加しましたが、2023年度の物価上昇率(3.0%の見込み)を考慮すると年金は実質的には減額となる見込みです。
内閣府の「令和6年度政府経済⾒通しのポイント」によると、2023年度と2024年度の物価上昇率と所得増加率は次の通りです。
物価高騰や人手不足への対応で賃金アップが加速化し2024年度の所得増加率の見通しは3.8%ですが、モデル年金額の増加は2.7%に留まります。