3. 実際に年金額をシミュレーション

ここまでの前提条件に基づき、実際に年金額をシミュレーションしてみます。

3.1 Aさんの老齢年金

便宜的に500万円の年収ですが、給与月額30万円、賞与70万円を年2回もらっています。

20歳から60歳まで厚生年金に加入していたとすると、国民年金にも同時に加入しています。

  • 老齢基礎年金 81万6000円 × 480(納付月数)/ 480月 = 81万6000円
  • 老齢厚生年金 500万円 × 5.481 / 1000 × 40年 = 109万6200円


老齢基礎年金 81万6000円 + 老齢厚生年金 109万6200円 = 191万2200円

月額にすると、15万9350円となります。

3.2 Bさんの老齢年金

便宜的に1000万円の年収ですが、給与月額60万円、賞与140万円を年2回もらっています。

40歳になるまでは国民年金に納付していませんでしたが、40歳から60歳になるまで、厚生年金に加入しているため、国民年金にも同時加入しています。

  • 老齢基礎年金 81万6000円 × 240(納付月数)/ 480月 = 40万8000円
  • 老齢厚生年金 1000万円 × 5.481 / 1000 × 20年 = 109万6200円


老齢基礎年金 40万8000円 + 老齢厚生年金 109万6200円 = 150万4200円

月額にすると、12万5350円となります。

AさんとBさん、年収や勤務期間は違いますが、老齢厚生年金は同額となりました。

老齢基礎年金(国民年金)は、Aさんは40年間の加入ですが、Bさんは20年だけの加入のため、Bさんは Aさんの半分となっています。

今回の結果としては、老齢厚生年金は同額ですが、老齢基礎年金を40年分受け取るAさんの方が、金額が多くなります。

ちなみに、Bさんが20歳から40歳になるまで国民年金保険料を払っていたとすると、20年間国民年金保険料の納付と40歳から60歳になるまでの20年間厚生年金に加入しているため、国民年金の納付期間が40年に。

これにより老齢基礎年金が満額の81万6000円となるので、AさんとBさんは、同じ金額の年金をもらうこととなります。

4. まとめにかえて

今回の結果で考えると、老後の年金についてはAさんの方が多くなりました。

厚生年金については、給与と賞与、そして勤務している期間が年金の結果に影響しますので、なるべく多くの給与や賞与をもらうこと、さらに長く働くことが、年金アップの条件なのです。

余談にはなりますが、今回の場合、Bさんも20歳から40歳になるまでの間、保険料を払っていなかった場合、国民年金の免除申請をして、申請が通っていれば、免除している期間も老後の年金の計算上増えます(現在は、全額免除月数の2分の1が年金額に反映します)。

また、今回は独身として考えていましたが、20歳時から配偶者の方がいて、国民年金の第3号被保険者であれば、配偶者の年金が増えるため、夫婦単位ではさらに年金額が変わってくるのです。

参考資料

香月 和政